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「俺の背中を見て学べ」って、そんなこと…

「俺の背中を見て学べ」。

昔からあるこの言葉、みなさんの職場でも聞いたことがあるのではないでしょうか。
経験豊富な上司が部下に対して、「いちいち説明しなくても、俺のやることを見て学べばわかるだろう」的な場面。確かに、優れたリーダーの姿勢や判断を間近で見ることは学びにつながるかもしれません。

しかし、それだけで本当に部下は成長するのでしょうか?

ビジネスの現場では、「見て覚えろ」では伝わらないことがたくさんあります。
ましてや、時代は変わり、働き方や価値観も多様化しています。

今日は、「俺の背中を見て学べ」が現代のビジネスシーンでどのように機能し、どのような限界があるのか、そしてリーダーに求められる本当の役割とは何かを考えてみたいと思います。

「俺の背中を見て学べ」は、「お前次第」「できるだろ」

「俺の背中を見て学べ」と言う上司の多くは、自分自身も同じように学んできた経験があるのではないかと思います。かつての職場では、上司や先輩の仕事ぶりを盗み見て、自分なりに試行錯誤しながら成長するのが一般的でした。

「お前次第」「できるだろ」という言葉には、「学ぶ姿勢を持てば自然と身につくはずだ」「細かい説明をしなくても察して動けるようになれ」といった期待が込められています。しかし、これはある意味で「学べる人だけが生き残る」仕組みと言えるのではないでしょうか。つまり、何をどう学ぶべきかの道筋が示されていないため、理解力や経験値の差によって成長の速度に大きなばらつきが生まれてしまうのです。

指導とは? ➡︎「叱る」と「怒る」

また、現在の職場環境は、かつてのような「長年かけて学ぶ」前提ではなくなっています。
人材の流動性が高まり、新入社員だけでなく、中途採用者や異業種からの転職者も増えています。
そうした人たちに「見て学べ」と言うだけでは、いつまでたっても即戦力にはなりません。

背中を見ても学べないもの。背中を見て学ぶとわからないもの。

もちろん、上司や先輩の仕事ぶりを観察すること自体は有益です。
立ち居振る舞い、危機管理の姿勢、取引先との信頼関係の築き方など、言葉では伝えきれない部分を学ぶ機会は多くあります。しかし、仕事には「見ているだけではわからないこと」もたくさんあります。

例えば、意思決定の背景
上司が「この案件はA社に任せよう」と判断したとしても、なぜA社を選んだのか、その意思決定のプロセスは表面上では見えません。また、部下が同じ状況に直面したとき、単に「上司がこうしていたから」と真似るだけでは、本質を理解した行動とは言えません。

また、細かいノウハウも「見て覚える」だけでは限界があります。Excelの関数や資料作成のコツ、効果的なプレゼンの仕方など、実際に手を動かして試してみないと身につかないスキルが多くあります。これらを言語化し、適切に伝えない限り、部下はいつまでたっても「何となく見様見真似」でやるしかなくなってしまう、ということも想定できます。

そして、最も重要なのは、失敗したときのリカバリー方法です。
上司が成功している姿はよく見えても、実はその裏でどれだけの修正や調整をしているのか、どうフォローしているのかは意外と見えません。結果だけを見て「なるほど」と思っても、いざ自分が同じ状況に置かれたときに適切な判断ができるとは限らないのです。

言葉にすること。言語化力とリーダーシップ。

では、「俺の背中を見て学べ」では足りないとしたら、どうすればいいのでしょうか?

答えはシンプルで、「言葉にすること」です。

リーダーには、自分が持っている知識や経験を言語化し、相手に伝える力が求められます。
特に、最近では「心理的安全性」が重視されるようになり、部下が「質問しやすい」「意見を言いやすい」環境が重要視されています。もし上司が「見て覚えろ」と言うだけでは、部下は「こんなことを聞いたら怒られるかもしれない」と委縮してしまい、結果的に成長の機会を逃してしまいます。

「この仕事の目的は○○だから、こういうやり方が効果的なんだよ」
「この交渉では、相手が△△を重視しているから、こういうアプローチをしているんだ」

こうした説明を加えるだけで、部下の理解度は大きく変わります。そして、リーダー自身も言葉にすることで、自分の考えを整理し、より明確な判断ができるようになります。

また、言葉にすることは組織のナレッジ共有にもつながります。
個人の経験やスキルが属人的にならず、チーム全体で活かせる仕組みを作ることができれば、より強い組織が生まれるはずです。

部下をよく観ることと、言葉で伝えること

「俺の背中を見て学べ」は、確かに大切な要素を含んでいます。しかし、それだけでは部下の成長を十分にサポートできない時代になっています。部下をよく観ることと、言葉で伝えること。この両方を活用することが、これからのリーダーに求められるスキルではないでしょうか。

もし、「言葉にするのが苦手」と感じるなら、まずは自分の考えをメモに書き出してみるのも一つの方法です。どうして自分がその判断をしたのか、どんな経験が影響しているのかを言語化することで、少しずつ「伝える力」が鍛えられていくはずです。

部下に「俺の背中を見て学べ」と言う前に、まずは自分の言葉で伝えてみる。
そうすることで、より強いチームと信頼関係を築くことができるのではないでしょうか。

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marco

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