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不安は敵じゃない

〜リーダーの成長を支える“もう一人の味方”〜

不安って、悪いもの?

「この企画、うまくいくだろうか」「部下に任せて大丈夫かな」——そんな思いが頭をよぎったことはありませんか?
私も、研修講師としてのキャリアを始めたばかりの頃、「本当に参加者の役に立てるだろうか」と不安で眠れない夜を過ごしたことがあります。

不安とは、将来起こるかもしれない“よくないこと”に対する心配や恐れの感情。
実はこれ、人間の脳が持つ「危険を察知して身を守る」ための生存本能から生まれています。
つまり、不安を感じること自体はとても自然なことであり、むしろ健全な反応なのです。

特にビジネスの現場では、責任が大きくなるほど、不安も比例して大きくなります。
そして、この「不安」とどう付き合うかが、リーダーとしての在り方に大きな影響を与えるのではないでしょうか。

不安が私たちを動かすとき

不安を感じると、私たちは知らず知らずのうちに、あるパターンの行動に出てしまうことがあります。

たとえば、ある企業の部長さんは「部下の仕事が心配で…」という不安から、つい細かく指示を出し、逐一報告を求めるようになってしまいました。結果として部下の自主性は失われ、仕事へのやる気も下がっていったようです。

また、あるプロジェクト責任者は「失敗したくない」という気持ちから、判断を先送りし、「もう少し準備してから」と動かないうちに、絶好のビジネスチャンスを逃してしまいました。

かく言う私も、大きな組織向けの研修を初めて担当した際、「うまくやれるだろうか」という不安から、資料作りに過剰な時間を費やしてしまったことがあります。その分、本来もっと重視すべき参加者のニーズ把握が手薄になり、あとから反省したことをよく覚えています。

不安の“裏側”にある、やさしい理由

でも実は、こうした行動の背景には「肯定的な意図」が隠れていることが多いのです。

たとえば「過度な管理」は、チームの失敗を避けたい、部下を守りたいという思いから。
「先送り」は、準備を整えて、確かな一歩を踏み出したいという願いから。
どれも、自分や周囲を守ろうとする健気な反応です。

ある経営者の方が、私との対話の中でこんなふうに言われました。
「新規事業への投資をためらったのは、怖かったからじゃなくて、会社を守りたかったんだと気づきました」
不安には、私たちに「気をつけて」と知らせてくれるアンテナのような働きがあります。
問題は不安そのものではなく、それにどう対応するか、なのです。

「意図」に気づけば、行動は変えられる

では、不安の裏側にある“良い意図”を活かして、もっと建設的な行動に変えるには、どうすればよいのでしょうか。

ひとつの方法は、「不安が知らせてくれているもの」に目を向けることです。
たとえば、「部下に任せて大丈夫かな」という気持ちは、「部下に成功してほしい」という願いでもあります。その意図に気づいたある管理職の方は、過干渉をやめ、代わりに明確な期待を伝え、定期的なフィードバックの場を設けるようになりました。

私自身も、「研修がうまくいくか不安」という気持ちを、「最高の学びを届けたい」という意図に置き換えてからは、資料作成に過度に力を注ぐのではなく、参加者の声に耳を傾ける時間を大切にする自分に変化することができました。

具体的なステップとしては、
まず不安を感じたときに「私は何を守ろうとしているのか?」と問いかけてみると良いと思います。
そして「その意図を活かすには、どんな行動が一番効果的だろう?」と考えてみるのです。

完璧を目指すよりも、
「やりながら整えていく」という柔軟さを持つことで、
不安はあなたの成長を支える“味方”になると思うのです。

不安は、あなたの「大切なもの」を教えてくれる

不安は、単なる障害ではありません。
むしろ、自分が何を大切にしているかを教えてくれる、優しいサインでもあるのです。

だからこそ、不安が芽生えたときこそチャンス。
「何が心配なのか?」だけでなく、
「その裏にどんな願いがあるのか?」に目を向けてみることをお勧めしたいです。

あなたのリーダーシップが、もっとしなやかに、

もっと温かく進化していくきっかけになって欲しいから。

この記事を書いた人

marco

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