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心の健康を守るやさしい第一歩

メンタルヘルスとセルフケアって何だろう?

このコラムは、メンタルヘルスに関心のあるすべての方に向けた全5回のシリーズです。

日々の暮らしの中でストレスや不安を感じている方、「なんとなく調子が出ないなあ」と感じている方に、セルフケアの大切さと、今日からできる工夫をお届けしていきます。

第1回の今回は、
そもそも「メンタルヘルスって何?」
「セルフケアってどういうこと?」という基本から、
一緒に整理してみたいと思います。

難しい専門用語はできるだけ脇に置いて、
「心の取り扱い説明書」の最初のページを開くようなイメージで
読んでいただけたらうれしいです。

メンタルヘルスって、そもそも何?

「メンタルヘルス」という言葉を耳にする機会が増えてきました。

日本語にすると「心の健康」。
もう少し丁寧に言うと、私たちの感情や思考、行動に影響を与える「心の状態」そのものを指します。

メンタルヘルスが良好なとき、私たちはストレスに押しつぶされにくくなります。
仕事で困難な場面に直面しても、「まあ、なんとかなるかな」と踏ん張る力が出てきますし、人間関係のちょっとしたトラブルにも柔らかく対応しやすくなります。

反対に、メンタルヘルスが不調になると、
気分の落ち込みや不安感が続いたり、
集中力が続かなくなったりします。

いつもなら気にならないことが妙に引っかかって、

気持ちの切り替えが難しくなることもあります。

放っておくと、うつ病や不安障害など、より深刻な不調につながる可能性もあります。

身体の健康には敏感なのに、心の健康は後回し?

私たちは、身体の不調には比較的敏感です。

風邪をひけば薬を飲み、熱が出れば早めに休みます。
お腹が痛ければ病院に行こうかな、と考えますよね。

ところが「心」になると、話は少し変わります。

「気のせいかな」

「このくらいで弱音を吐いてはいけない」

「もう少し頑張れば何とかなるはず」

そんなふうに自分に言い聞かせて、
心のSOSを見なかったことにしてしまう。

思い当たるところはないでしょうか。
気合いと根性でなんとかしようとするのは、私たちの得意技なのかもしれませんが、心の健康については、そろそろ別のやり方を選んでもいいのかもしれません。

セルフケアとは「自分を大切にする練習」

そこで大事になってくるのが「セルフケア」です。

セルフケアとは、自分自身の健康を維持し、高めていくための行動や習慣のこと。難しく構える必要はありません。ひと言でいえば「自分を大切にすること」です。

身体のセルフケアと聞くと、バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠などが浮かぶと思います。心のセルフケアも基本は同じで、「今、自分はどんな感情を抱えているか」「どのくらい疲れているか」に気づき、必要な休息や工夫をしていくことです。

現代の暮らしは、仕事、家事、育児、介護など、やるべきことが山のようにあります。

その中で「自分のことは後回し」になってしまうのは、ある意味で自然なことかもしれません。でも、自分がくたくたになってしまったら、周りの人を支える力も出にくくなります。

飛行機の緊急時に「まず大人が酸素マスクをつけてから、お子さまを助けてください」と案内されるのと同じで、自分が息ができていることが前提になって、はじめて誰かを支えられます。セルフケアは、「人のためにも自分を整える」大切な行動でもあります。

厚生労働省も重視する「心のケア」

実は、メンタルヘルスケアの重要性は、国のレベルでも強く意識されています。

厚生労働省も、特に「職場のメンタルヘルス対策」を大きなテーマとして掲げています。心の不調は、そのまま働き方や生産性に影響してしまうからです。

心の調子が悪いと、仕事のミスが増えたり、判断に時間がかかったり、人間関係の小さな行き違いが大きなトラブルになったりします。これは、本人にとっても企業にとっても、決して小さくない損失です。

だからこそ、定期的なメンタルヘルスチェックや、日頃からのセルフケアが重要だといわれています。「なんとなくしんどいけれど、そのうち良くなるはず」と我慢を重ねるのではなく、早めに気づいて早めに対処することが、心の健康を守る鍵になります。

見逃さないで、心からの小さなサイン

メンタルヘルスの不調は、いきなり大きな症状として現れるわけではありません。

最初はとても小さな変化として顔を出します。

例えば、こんなサインです。

・いつまでも取れない疲労感がある

・集中力が続かない、仕事のミスが増えた気がする

・感情の波が激しくなり、イライラしやすい

・眠れない、何度も目が覚める、あるいは寝ても寝ても眠い

・食欲がない、逆に食べ過ぎてしまう

・休日もまったく気分が晴れない

こうしたサインを「大したことない」「みんなこれくらい普通」と片づけてしまうのは危険です。
「ちょっと疲れているだけ」と思っていたら、実はかなり追い詰められていた、ということも少なくありません。

心のサインに気づくことは、それだけでも立派なセルフケアです。

「今の自分は少ししんどいかもしれないな」と認めるところから、次の一歩を考えられるようになります。

日常生活が、心の土台をつくっている

私たちのメンタルヘルスは、特別な出来事だけで決まるわけではなく、日々の生活習慣と深く結びついています。

食事、運動、睡眠、そして人とのつながり。これらが心の「土台」をつくっています。

バランスの取れた食事は、脳の働きを支え、気分の安定にも関係します。

適度な運動は、ストレスホルモンを減らし、気分を明るくするホルモンの分泌を助けます。

質の良い睡眠は、心身の疲れを回復させる、いわば「心の充電タイム」です。

そして、信頼できる人との温かな関係は、心の支えになり、「一人じゃない」と感じさせてくれます。

こうしてみると、特別なことよりも、「毎日のあたりまえ」が心の健康を支えているのだと分かります。

第1回では、メンタルヘルスとセルフケアの基本的な考え方を、ざっくりと整理してきました。次回の第2回では、日常生活の中で今日から実践できる、具体的なメンタルケアの方法をご紹介していきます。難しいことは何一つありません。「これならできるかも」と思える、ちょっとした工夫を一緒に見つけていきましょう。

この記事を書いた人

marco

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