~私が24年間で気づいた経験学習の本質~
※個人の見解が入っています。
「『やらせてみればいい』は間違い? ~デューイが批判した進歩主義教育~」
「経験させれば人は育つ」という思い込み
新人研修後、若手社員に「まずはやらせてみればいい」と十分なサポートもなく業務を任せる。職場では珍しくない光景です。
わたし自身、独立当初はまさにその考えでした。「人は経験から学ぶ。ならば場数を踏ませればよい」と。
しかし、ある研修参加者がこう言いました。
> 「経験はたくさんしたけれど、何も身についていない気がします」
それは衝撃的な言葉でした。
■ デューイが批判した「進歩主義教育」
1938年、デューイは著書『経験と教育』で、当時流行していた“進歩主義教育”を厳しく批判します。
「自由に経験させればよい」という考えが先行し、教育者が指導責任を放棄してしまう状況を問題視したのです。
その批判を象徴するのが、この有名な一文です。
>Not all experiences are genuinely or equally educative.”(Dewey, 1938)
>「すべての経験が教育的であるわけではない。」
つまり、
経験すれば育つわけではない。経験の“質”が重要なのだ。
ということです。
■ 伝統的教育への批判も
同時にデューイは「詰め込み型の教育」も批判しました。
知識を一方的に与える
学習者が受け身のまま
過去の知識の暗記に偏る
こうした教育も“経験から学ぶ本質”とはかけ離れていると述べました。
■ 現代のOJTに置き換えると…
現場には2つの極端が存在します。
① マニュアルを一方的に教える「伝統型」
② 現場に放り出して「自分で覚えろ」の放任型
どちらも、人の成長を妨る、といって良いでしょう。
一つの例ですが、
わたしが受けたハラスメント相談の中には、
放任型OJTが原因でメンタル不調に陥ったケースもありました。
わたし自身、その経験を持っています。
■ デューイの答え—「自由には計画が必要」
デューイはこう述べています。
>“Experience arises from the interaction of external conditions and internal states.”(Dewey, 1938)
> 「経験は、外的条件と内的状態の相互作用から生まれる。」
つまり、教育者は“経験の質”を吟味し、環境を整え、適切な支援を提供しなければならない。
次回は、経験の質を決める二つの原理
「連続性」と「相互作用」
についてお話しします。







