
誰でも経験あるある
会議で「これにしましょう」と決めたのに、後から考えるとどうも違和感が残る。でも「一度決めたことだから」と自分に言い聞かせて進めてしまう。あるいは、部下の提案に「それはダメだ」と一度否定してしまうと、後から良い面が見えてきても「さっき否定したのに…」と意見を変えられない。こんな経験、ありませんか?
私たちは日常的に「一度決めたことを変えられない」という思考の罠に陥っています。新しい情報が入ってきても、最初の決断を修正することに抵抗を感じるのです。営業職の方なら、顧客の反応が良くない商品を「もう販売計画を立ててしまったから」と見直せなかった経験もあるでしょう。この心理は「コミットメントの一貫性」と呼ばれ、誰もが持つ認知バイアスなのです。(巻末に補足あり)
なぜ、一度決めてしまったことを変えられないのか

心理学に「認知的不協和」と呼ばれる現象があります。
私たちは自分の行動と信念の一貫性を保ちたいという強い欲求を持っているのです。
一度下した決断を変更すると「自分は間違っていた」と認めることになる、と考えてしまい。自己イメージが傷つく恐れの感情が生まれることもあります。
特に管理職の方々は「リーダーは決断を変えるべきではない」という固定観念から、新しい情報が入っても方針転換を躊躇することがあります。また「決断を変えると信頼を失う」という思い込みも強いものです。
しかし実際には、柔軟に方針を変更できるリーダーが、チームからの信頼を得ているケースはいくつもあります。その姿勢が「最適な結果を追求している」というメッセージとしてメンバーに受け取られることもあるからでしょう。(巻末に補足あり)
人間って、本当に・・・

人間って、本当に面白いですね。「変化を恐れる」と「成長したい」という相反する欲求を同時に持っています。一度決めたことを変えられない私たちですが、その心理を理解しているだけでも、より柔軟な思考ができるようになると思います。
ビジネスの世界は日々変化しています。
昨日の正解が今日の間違いになることも珍しくありません。そんな環境で成功するためには、「決めたことだから」という思考の罠から抜け出し、新しい情報や視点を取り入れる勇気も必要になるでしょう。
「一度決めたから」という理由だけで変えられないのなら、それは変化の機会を逃している可能性も含まれているかも。次に何か決断するとき、「今の決断は、過去の決定に縛られていないだろうか?」「今の決断は、根拠が明確で、今の状況にも当てはまるかな?」と自問してみるのもありですね。
私たち人間は、経験から学ぶ存在。だからこそ、軌道修正できる積極性や柔軟さが、個人としても組織としても成長への鍵になるようにも思います。
【補足】
コラム内では「コミットメントの一貫性」と「認知的不協和」が密接に関連していることの説明になっていますが、厳密には「コミットメントの一貫性」は行動や意思決定への一貫性を求める心理傾向であり、「認知的不協和」はその一貫性が崩れた際に生じる不快感を解消しようとする心理状態です。
より厳密な区別をするならば、この点を意識して、コラムをお読みくださいませ。
「リーダーは決断を変えるべきではない」という固定観念については、
状況によってはリーダーシップの安定性や信頼感につながる側面もあります。
重要なのは、状況に応じて柔軟に対応することであり、一概に否定されるべきものでは無い、という前提を持って書いています。コラム内での柔軟性の重要性は、この点も考慮に入れてご一読ください。

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