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「伝えたつもり」 〜なぜ私たちは目的語を省いてしまうのか〜

皆さん、こんな経験はありませんか?
たとえば、「あれ、持ってきて」と部下に頼んだのに、まったく違うものを持ってこられてしまった。
あるいは、「先日の件、確認しておいて」とお願いしたのに、肝心なポイントが確認されていなかった…。

私自身も、研修の場でよくあります。
「資料を配ってください」と伝えたつもりが、「どの資料でしょうか?」と聞き返される。
慌てて「あ、グループワーク用の青いファイルです」と補足する場面は・・・😰数え切れません。

実はこれ、「目的語の省略」という、日本語話者が陥りやすい思考の癖によるものです。
私たちの頭の中では「あれ」や「先日の件」が何を指しているか明確なのに、相手にはそれが見えていない。ここに、すれ違いの原因が潜んでいます。

では
なぜ、目的語を省いてしまうのでしょうか。

なぜ、目的語を省いてしまうのか

一つには、「察してくれるだろう」という無意識の期待があります。
日本語は、背景や空気を読むことを重んじる文化の中で育まれてきたため、細かく説明しなくても分かり合えるはずだ、という思い込みがあるようです。
また、忙しい日常では「なるべく短く、手早く伝えたい」という思いから、省略してしまう傾向もあります。

ですが、この「伝えたつもり」は、組織内にコミュニケーションロスを生み、時に深刻な業務ミスを招きます。
ある製造業の管理職の方は、「品質チェックしておいて」とだけ指示を出してしまい、担当者がチェックすべき項目を誤解してしまった結果、納品後にクレームが発生したことがあったと話してくれました。

では、この思考の癖をどう変えていけばいいのでしょうか。

「自分の頭の中は相手には見えていない」

私が研修でお伝えしているのは、「自分の頭の中は相手には見えていない」という前提に立つことです。
そのうえで、「3W1H」を意識することをおすすめしています。

What(何を)
Who(誰が)
When(いつまでに)
How(どのように)

これを明確にして伝える習慣を持つのです。

たとえば、「企画書、明日までに修正しておいて」ではなく、
「マーケティング企画書の3ページ目のグラフを、最新の売上データに基づいて、明日の午前中までに修正してください」と具体的に伝える。
これだけで、伝わり方が格段に変わります。

こうした小さな積み重ねが、実は大きな違いを生みます。
ある部署の朝のミーティングで、こうした伝え方の見直しに取り組んだ結果、業務に変化があったと言います。具体的には「報告のやり直し」や「指示の言い直し」が半分以下に減って、毎年10月に実施する社内調査の項目で業務へのストレスが軽減されたことがわかったそうです。

さらに、明確なコミュニケーションは、チーム内の心理的安全性にも良い影響をもたらします。
「何を求められているのか分からない」という不安が減ることで、安心して行動できるようになり、チーム全体の信頼感も高まっていくのです。

「なぜ目的語を省いてしまうのか」

思考の癖を変えるのは簡単ではありません。
でも、「なぜ目的語を省いてしまうのか」という自分自身の無意識にまず気づき、意識的に修正を試みることは、コミュニケーションを変え、組織を変える第一歩になります。

ぜひ「目的語も大事に扱うこと」を意識して指示や業務連絡を進めてみてはいかがでしょうか。
きっと、相手の反応の違いに、すぐに気づくはずです。
そして何より、伝わることの楽しさも、実感できることでしょう。

この記事を書いた人

marco

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