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失敗から学ぶ!部下指導で避けるべき5つの落とし穴

今回はその中でも、いま多くの管理者が気になっているパワハラの問題を取り上げます。
部下指導のつもりが、意図せず相手を追い詰めてしまうことは、どの職場でも起こり得る落とし穴です。

落とし穴2:パワハラとその影響

「しっかり教えているはずなのに、なぜか部下が委縮してしまう」
「指導したのに、逆に“パワハラじゃないか”と疑われてしまった」
そんな経験をされた方はいないでしょうか。
実は、相手にとっての指導は、必ずしも自分の意図通りに受け取られるわけではありません。

パワハラと受け取られてしまう背景には、言葉や態度の強さだけでなく、タイミングや伝え方、相手の状況への配慮不足が影響しています。

例えば、業務の失敗を何度も繰り返す部下に対し、イライラが募った結果「もういい加減にして」と強い口調で言ってしまう。本人は「叱る」というよりも「危機感を持たせるつもり」だった、としても、受け取る側は「人格を否定された」と感じてしまうことがあります。

パワハラと認識された瞬間、その影響は指導対象の部下だけに留まりません。周囲のメンバーの空気も変わります。「あの人に指導されたら怖い」「何かあったら巻き込まれそう」といった雰囲気が生まれると、チーム全体の信頼関係が崩れ、意見や相談が出にくくなります。結果的に、職場のパフォーマンスそのものが下がる悪循環に陥りやすいのです。

パワハラの定義と具体的事例

厚生労働省の定義では、パワハラは「優越的な関係を背景とした言動で、業務の適正な範囲を超えて、労働者の就業環境を害するもの」とされています。難しく聞こえますが、要は業務上必要な範囲を超えた言動が問題になる、ということです。

たとえば、次のような例はよく相談として挙がります。
・業務ミスを必要以上に皆の前で繰り返し指摘する
・プライベートに立ち入った発言をする
・過剰なノルマを押しつけ、達成できないと人格を否定するような言葉を投げる
・「成長のため」と言いつつ、明らかに不合理な業務を押しつける
こうした言動は、本人には“指導”の意識があっても、相手にとっては精神的苦痛でしかありません。
ハラスメントの相談を受ける際、行為者から「そんなつもりはなかったのに、指導がきっかけで退職に繋がるかもしれない」と不安と焦りの声を聞いたことがあります。指導の目的と、相手が受け取るメッセージがずれると、取り返しのつかない結果を招くことがあるのです。

信頼関係の構築が鍵

では、どうすればパワハラを避けながら効果的な指導ができるのでしょうか。
鍵は、普段からの信頼関係づくりです。信頼がある関係では、それが「厳し目の指摘」であっても「自分のために言ってくれている」と受け手が解釈できるケースが多くあります。

信頼関係を築くには、日常の小さな関わりが大切で、ちょっとした雑談や、相手の努力に気づいたときに声をかけることで、「この人は自分を見てくれている」という安心感が生まれます。また、指導するときは状況と行動を具体的に伝えることがポイントです。「ここができていない」「もっと頑張れ」ではなく、「この資料のここが抜けていたから、次回はこのチェックリストを活用しよう」と具体的に示す。これだけで、指導の印象は大きく変わります。

パワハラは、相手の感じ方に大きく左右されます。
「自分はそんなつもりじゃなかった」が通用しないのが難しいところです。でも、だからこそ普段の関係性や伝え方が重要なのです。

部下指導は、チームを育てるために必要不可欠な行為です。
しかし、その一歩が相手の心を傷つけるものになってしまうと、チーム全体の信頼が揺らいでしまいます。

まずは「相手にどう伝わるか」を意識し、信頼を前提とした関わりを積み重ねることが、結果的に指導の質を高める近道なのではないでしょうか。

研修の場で管理職の方々にお話しするたびに、指導とパワハラの境界線の難しさを感じます。同時に、部下と向き合うときの思考や行動のパターンを意識的に変えるだけで、関係性は大きく変わるということも実感しています。

あなたの職場でも、今日からできる小さな関わりを一つ増やしてみるのもアリなのではないでしょうか。

この記事を書いた人

marco

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