—アインシュタインが見ていた学びのかたち—
「経験が大事」
「体験から学ぶ」
私たちはこうした言葉を、よく耳にします。
時には
「知識より経験」
という表現に出会うこともあります。
そしてこの考え方は、アインシュタインの言葉として紹介されることもあります。
ただし文献的に見ると、そのままの形で彼が語った記録は確認されていないそうです。
それでも、そこに含まれている精神は、確かに彼の考え方の中心にあります。
今回は、アインシュタインが見ていた
「経験と知識の関係」について整理してみたいと思います。
経験は、知識の出発点であり最終的な確かめでもある
アインシュタインはこう述べています。
純粋な論理的思考だけでは、現実についての知識は得られない。
すべての知識は経験から始まり、経験に終わる。
どんなに理屈として美しくても、
どんなに理論として整っていても、
それが現実と一致しているかを決めるのは、最後は経験です。
彼は、経験は理論に対して
「Yes」とは言わない、
せいぜい「たぶん(Maybe)」か「No」だ、
と表現しました。
経験は私たちの考えを裏づけるものというより、
むしろ問い返してくる存在でもあるのです。
情報と知識と知恵は違う
アインシュタインは、外から与えられる事実と、
自分の中で理解として育つものを区別していました。
さて、わたしがアインシュタインの回顧録や彼にまつわる本を読んでとても驚いたのは、
「本で調べられる事実を暗記することに、彼は価値を置かなかった」ということです。
彼の考えを整理すると、
大きく三つの段階があることがわかります。
情報:与えられた事実やデータ
知識:経験を通して理解として結びついたもの
知恵:経験の蓄積と洞察から生まれる見方や発想
情報は外にありますが、知識は内側に育つもの。
そして知恵は、時間をかけて熟していくもの。
経験は「起きたこと」ではなく「関わったこと」
さて、経験とは、なんでしょう?
彼から教えてもらえたことは、
経験とは単に出来事が起きることではない、
ということでした。
同じ出来事でも、
どう関わったかによって意味は変わります。
経験は、知識の始まりであると同時に、
理解が現実と合っているかを確かめる場でもあります。
私たちは経験によって学びますが、
同時に経験によって、自分の理解を問いかえされているのではないか、と思うのです。








