職場で「言いたいことをうまく伝えられない」「相手の反応がいまいち良くない」と感じる場面はありませんか?部下やチームメンバーとのコミュニケーション、さらには取引先とのやりとりにおいて、言葉の選び方や態度は結果を大きく左右します。このような状況で参考になるのが「ポライトネス理論」です。
ポライトネス理論とは、言語学者ブラウンとレビンソンが提唱した理論で、対人関係における礼儀や配慮(ポライトネス)の重要性を示しています。特に、相手の「フェイス(面子)」を守るコミュニケーションが円滑な関係を築く鍵になるとされています。
ポライトネス理論の基本:フェイスとは?
ポライトネス理論の中核にあるのが、「フェイス(面子)」という考え方です。
フェイスには大きく分けて2種類があります。
ポジティブフェイス
「他者に認められたい」「評価されたい」という願望です。
たとえば、部下が「自分の仕事が評価されている」と感じると、やる気が向上します。
ネガティブフェイス
「自由でありたい」「干渉されたくない」という願望です。
たとえば、部下が「仕事の進め方に干渉されすぎる」と感じると、ストレスが溜まる原因になります。
👉 個人的には「仕事の進め方に干渉されすぎる」と感じると、ストレスが溜まるっていうのはバシッとハマる(笑)
ビジネスシーンでは、これら両方のフェイスに配慮することが必要です。上司としては、部下のポジティブフェイスを満たしつつ、ネガティブフェイスを傷つけないよう心掛けると良いでしょう。
ポライトネス理論をビジネス活用
具体的なビジネスシーンを挙げて、ポライトネス理論をどのように活用できるかを考えてみましょう。
フィードバックの場面
部下にフィードバックを伝えるとき、ポジティブフェイスとネガティブフェイスへの配慮が欠かせません。たとえば、次のような表現の違いを考えてみてください。
>ネガティブな表現例:「この部分、全然できていないね。もっと努力が必要だよ。」
>ポライトネスを考慮した表現例:「この部分、あと少し工夫するともっと良くなると思うよ。期待しているから頑張ってほしい。」
後者の方が部下のポジティブフェイスを尊重し、モチベーションを保ちやすくなります。
指示を出す場面
指示の仕方によって、ネガティブフェイスを侵害してしまうことがあります。たとえば、以下のような違いです。
>強制的な表現:「この仕事、絶対にこのやり方でやってね。」
>配慮した表現:「このやり方を試してみるのはどうかな?もし他に良い方法があれば教えてほしい。」後者では、相手の意見を尊重する姿勢が見え、指示を受け入れやすくなります。
部下の提案を受け入れる場面
提案が不十分だと感じても、頭ごなしに否定するのは避けたいところです。
>否定的な表現:「これ、現実的じゃないね。他の案を考えてきて。」
>ポライトネスを考慮した表現:「良い視点だね。ただ、この部分をもう少し具体化すると、もっと実現性が高くなるかもしれないよ。」
このように、部下の意欲を削がずに改善点を伝えられます。
ポライトネス理論を活用したリーダーシップの効果
ポライトネス理論を意識したコミュニケーションを取ることで、職場には以下のような効果が期待できます。
信頼関係の向上
部下やチームメンバーは「自分が尊重されている」と感じるため、上司に対する信頼が深まります。
モチベーションの向上
ポジティブフェイスを満たすことで、部下は「自分の努力が認められている」と感じ、意欲が高まります。
ストレスの軽減
ネガティブフェイスへの配慮により、過度な干渉を避けられるため、ストレスの少ない環境が作れます。
日常会話から意識してみる
ポライトネス理論は、何も特別な状況だけに使うというのではなく、日常の何気ない会話や指示出しの中でも応用できます。たとえば、今日の会議での発言や、部下へのちょっとしたお願いをするとき、「この言い方で相手のフェイスを守れているか」を考えてみてください。
また、研修などでポライトネス理論を学ぶ機会を設けるのもおすすめです。部下やチームメンバー全員がこの考え方を共有することで、職場のコミュニケーションが大きく改善されるでしょう。
ちぴぃヒラサワの余談:ちょっと思い出したのですが、昨日、仕事関係で初めて会ったかなり若い方から、いきなりタメ口で話しかけられました。それだけでなく、会話の中でも「呼んでます、あっち」「マーカー、黒?」「休憩、20分」といったような、単語だけの暗号のような言葉遣いで返され、失礼な扱いを受けた気持ちになったんです。その瞬間、脳裏にポライトネス理論のことが浮かびました。嫌な気持ちは、その日一日ずっと引きずってしまいました(汗)ポライトネスって大事〜😭
ポライトネス理論を知り、日々のコミュニケーションに活かすことは、チームの成長に欠かせないリーダーシップの要素です。相手のフェイスを守る言葉を選ぶことが、信頼関係を築き、成果を引き出す第一歩だと思います。
部下に話しかけるとき、少しだけ言葉を意識してみてはいかがでしょうか?
その小さな変化が、大きな何かを生むかもしれません。
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