営業時間:平日10:00~17:00

070-5054-3110

休業日:土日祝日 年末年始季節休暇

無意識に問題を軽く扱ってしまうリーダーシップ

職場での一幕を想像してみてください。
ある社員が勇気を振り絞ってリーダーに相談しました。
「同僚とのコミュニケーションがうまくいかず、業務が滞っている」と。

相談を受けたリーダーは、深く話を聞くわけでもなく、こんな言葉を口にしました。
「まぁまぁ、あいつも説明が下手だから」
「いや、悪気があったわけじゃないと思うよ」

この話は実話です(私の経験談)。

一見、相談者を気遣う言葉のようにも聞こえます。しかし、この瞬間、相談者の心に何が起こったか想像できるでしょうか。
「この人に相談しても意味がない」「もうこの問題に向き合うのは諦めよう」。
私自身も、まさにそのように感じてしまいました。

無意識に問題を軽く扱ってしまうリーダーシップの背景

この話を思い出したのは、ある企業の労務担当者から類似した事例の相談を受けたことがきっかけでした。同じようなケースは少なくありません。たとえば、部下や後輩からの相談に対し、「気にしない方がいい」「説明って上手い人ばかりじゃないんだから」といった発言で励まそうとする上司がいます。

これらの言葉は一見親切に思えるかもしれませんが、相談者の視点からすると「自分の問題は重要ではない」「取り合ってもらえない」と感じることがあります。その結果、信頼を失い、部下の不満が募る原因となります。さらに、リーダーが相談者ではなく別の当事者と共通認識を持つことで、問題が一方的に片付けられるケースも見受けられます。

こうした状況は「無意識に問題を軽く扱ってしまうリーダーシップ」の典型的な背景といえるでしょう。

このコラムは、特に部下を持つ中間管理職やリーダーの立場にいる方々に向けて書いています。部下が抱える問題を受け止めることや、信頼関係を深めることの参考にしていただければと思います。

無意識に問題を軽く扱ってしまうリーダーシップとは?

「無意識に問題を軽く扱ってしまうリーダーシップ」とは、部下の相談や問題提起に対して、表面的な対応でその場をやり過ごそうとする姿勢を指します。
例えば、以下のような行動です。

  • 問題の核心に触れず、表面的なコメントで話を終わらせる。
  • 「悪気があったわけじゃない」と相手を擁護するだけで具体的な解決策を示さない。
  • 部下の訴えを軽視して「気にしすぎ」と片付ける。

これらの言動には、リーダーとしての悪意はないかもしれません。しかし、相談者である部下にとっては、「この人は私の話を真剣に受け止めていない」と感じさせる原因になります。

メンタルヘルス研修での事例

研修講師としてさまざまな職場に訪問してきた中で、メンタルヘルスに関する事例を複数知り得ました。特に印象的だったのは、ある中堅社員が語ったエピソードです。

「私はリーダーに何度か相談しました。でも、いつも『まぁまぁ、どっちも悪いんだよ』と言われるだけで、根本的な対策を考えてくれませんでした。その結果、私は『もう相談するのはやめよう』と思い、自分で抱え込むようになりました」
この中堅社員は、業務の負担が増え、退職を選ぼうとしていました。

この事例は、問題を軽視したことにより相談者の信頼を失う例といえると思います。
余談ですが、数ヶ月後この中堅社員は同業に転社をしました。

信頼を築くリーダーになるために

では、どうすれば部下に信頼されるリーダーになれるのでしょうか。ここでは簡単なヒントをいくつか紹介します。

まず話をしっかり聞く
部下が話す内容を途中で遮らず、最後まで聞くこと。相手が「受け止めてもらえた」と感じるだけで、信頼感は大きく向上します。
例えば、「うんうん」と相槌を打つだけでも、相談者が安心感を得やすくなります。

問題の核心を掘り下げる質問をする
「どういうときに困っているの?」など、相手の状況を深く理解するための質問をすることで、部下が抱える問題をより具体的に捉えられます。
「それが起きたのはどんな場面?」といった具体的な問いを使うと、相手が状況を整理しやすくなります。

解決策を一緒に考える
完璧な答えを持つ必要はありません。「一緒に考えよう」という姿勢が大切です。
「一度、相手にも話を聞いてみようか」と提案するだけでも、行動への第一歩となります。

「その場をやり過ごす」ではなく、信頼を構築する行動を選ぶ
時間がかかっても、問題の核心に向き合う姿勢を示しましょう。

リーダーシップは「問題を軽く扱う」ものではない

リーダーシップは、問題を隠すことやその場をしのぐことではなく、部下とともに困難に向き合い、解決を目指す力です。「無意識に問題を軽く扱ってしまうリーダーシップ」は短期的には楽かもしれませんが、長期的には部下の信頼を損ない、組織全体の生産性や士気を低下させる原因になります。

次に部下から相談を受けたときは、少しだけ深呼吸をしてみてください。そして、「この場面で部下にとって信頼できるリーダーになるには、どう行動するべきか」を考えてみるのはどうでしょう。

リーダーシップとは、一歩踏み込んで寄り添う勇気です。リーダーシップは、誰でも実践を通じて磨けるものです。一歩ずつ、部下との信頼関係を築いていくための行動を取ってみてください。

ぜひ、ご利用ください。

当研究所では、研修のご導入をご検討の企業担当者の方に向けて
無料相談会を開催しています。

ヒューレット・パッカード社の創業者が残した「人の成長なくして企業の成長はない」というメッセージは、その後リーマンショック等を経て事実上各社で証明され続けている実態があります。こうしたことからも、企業では社員を育成するための様々な研修を企画されていることと思います。

当研究所では、研修のご導入をご検討の企業担当者の方に向けて企業様ごとの個別無料のオンライン相談会を開催させていただいております。お気軽にお問合せ・お申し込みください。

■お問い合わせはこちら■


そのほか、自社の研修を新たに導入することに関するご相談をオンラインでお受けしています。
・現状ではどういった研修を導入すると良いのか
・研修はどの頻度で実施すると良いのか
・フォローアップはどのように進めると効果があがりやすいのか
・階層ごとにどういった教育が必要なのか
・自社の教育体系施策を作成したいが、作り方がわからないし現実的かがわからない
など、従業員育成に関するあらゆるご相談を無料でお受けしております。
ご希望の方は、以下のお申し込みフォームからお申し込みください。
追ってご連絡をいたします。
ぜひ、無料個別相談をご利用ください。

■お問い合わせはこちら■


組織こうどう研究所

この記事を書いた人

marco

関連記事

  • コミュニケーション
  • メンタルヘルス
  • リーダーシップ
  • 能力開発
リーダーの舌打ちの影響力

リーダーが舌打ちする心理とその影響 リーダーが舌打ちしてしまう瞬間、それはどのよ […]

  • OJT
  • いろいろプロセス
  • リーダーシップ
  • 能力開発
PDCAサイクルの秘密

日々のビジネスシーンでは、目標を掲げながらも試行錯誤の連続に直面することが多いの […]

  • 職場の心理的安全性
ズバリ! 心理的安全性が高いチームの作り方

今日は、心理的安全性が高い協力し合えるチームの真逆ケースから考えてみたいと思いま […]

  • コミュニケーション
  • リスクマネジメント
  • リーダーシップ
  • 生産性
頑固な部下との付き合い方

頑固な部下との関わり方に悩んだ経験から 私自身の頑固さん(部下)と向き合ってきた […]

  • コミュニケーション
  • ハラスメント
  • メンタルヘルス
  • リスクマネジメント
  • リーダーシップ
  • 職場の心理的安全性
ハラスメント相談を受けたら

〜上司として大切にしたい対応の心得〜 近年、職場でのハラスメントが社会的に大きな […]

  • コミュニケーション
  • チームワーク
  • リーダーシップ
  • 能力開発
ちぴぃヒラサワの独断と偏見!リーダーの悩みトップ3

部下を持つみなさん、突然ですがリーダーとしての悩み、こっそり抱え込んでいませんか […]