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ずるずると不快になる話

「答えを求めること、答えを伝えること」

時折、考えることがあります。

——「専門家」とは、何なのだろう?

専門的な知識や経験を持ち、それを活かして他者の問いに応える人。多くの場合、それが専門家の役割とされます。しかし、実際に専門家と対話をしたとき、必ずしも納得のいく答えが得られるとは限りません。

知識があるからこそ、相手の理解度を測るために問いを返す人。
相手に考えさせることで、学びの機会を与えようとする人。
あるいは、知識があるがゆえに、無意識に「上から目線」になってしまう人。

いろいろな専門家がいますが、私は先日、とても考えさせられる出来事に遭遇しました。

リーダーシップにも活かせるポイントが出てきますので、
ぜひ、この経験を皆様の活動のヒントにしていただけると嬉しいです。

実話 ずるずると不快になる話

専門的な分野が大きく介在する案件で、わからない部分が多くを占めていました。「皆目見当がつかないとはこのことだなぁ」と思いながらも、まずは調べて、懸命に考えて……。ある程度の見当はつけられましたが、確信は持てないし、おぼろげな印象も否めなかったことから、知識豊富な専門家に質問をしました。

「この件は、どう解釈すれば良いですか?」

すると、「あなたはどう思いますか?」と返ってきました。

調べてもわからないから聞いた、と言っているのにこの返しだったので、違和感を覚えたものの、気を取り直して、それまで調べた内容と、その結果立てることができた仮説をお話しし、その上で、まだおぼろげ感が否めないとお伝えしました。……と言いたいのですが、しかし、途中途中で訂正を入れられてしまいました。

少し話すと「そこは違う」と指摘され、
少し話すとレクチャーが入り、
の繰り返しです。
次第に、その専門家がレクチャーするためにわたしはテーマ出しをさせられている気分になっていきました。

ある程度まで話が聞けた頃に、わたしの隣に座っていた講師仲間が「バカにしてんの?」と専門家に詰め寄りました。(二人で質問をしたのです。)実のところ、わたしも講師仲間と同じことを考えていました。「これはかなりバカにされているな」と。

しかし、その専門家は『なぜ、そんなことを言うの?』といった表情でした。

みなさま、お分かりでしょうか?

その専門家が私たちに何をしたか。
なぜわたしたちは「バカにされているのかな」と感じたのか。

専門家がしたこと

専門家は、私たちに答えを与えませんでした。少なくとも私たちが求めていた形では

「あなたはどう思いますか?」という問いかけは、時に思考を促すために有効ですが、今回のような場面では、明らかにこちらの意図とズレていました。

私たちは、考えずに答えをもらおうとしたわけではなく、調べたうえで、それでも判断しきれなかった部分を確認したかったのです。にもかかわらず、専門家は「まずはあなたの意見を」と求め、話し出せば「そこは違う」と遮り、結局、こちらが必要とする核心にはなかなか触れてくれませんでした。

まるで「この場で学びなさい」と言わんばかりの態度だ、とわたしたちは受け取ったのです。

もちろん、教え方のスタイルは人それぞれですが、わたしと仲間が感じたのは「対話の不在」でした。こちらの知的探究心に寄り添うのではなく、相手が主導権を握り、私たちは受け身に回るしかない状態。質問をしたはずなのに、なぜか「試されている」「評価されている」ような気分になりました。

知識を持つ人が、それをどう伝えるか
そこには、コミュニケーションの質が問われます。


ただ「知っていることを話す」だけではなく、「相手がどんな情報を必要としているのか」「どのように伝えれば納得しやすいのか」を考えることが、専門家の役割だと、この経験から痛感しました。少なくとも、わたしはそう思います。(その意味では、学び満載だったと言えます。)

そして、今回の出来事を通じて、改めて気づきました。

——質問に対して、真摯に答えることの大切さ。
——相手が「わからない」と言ったとき、その前提を尊重することの重要性。
——「教えること」は「マウントを取ること」ではない、ということ。

知識は、それをどう扱うかによって、人を助けるものにも、突き放すものにもなり得る。
わたしは、後者にはなりたくないな、と思いました。

質問をする側も、される側も、対話を通じて互いに理解を深めることができる。

専門家と呼ばれる立場であればこそ、知識の伝え方を大切にしたいものです。


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marco

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