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具体的なことしか言わないリーダー

ビジネスの現場では、「もっと具体的に話してほしい」「もう少し全体像を示してほしい」といったやりとりが日常的にあります。

会議で部下から「このプロジェクトの目的って何ですか?」と聞かれて、「〇〇という業務を進めて、△△の結果を出すこと」とリーダーが答える。しかし、部下は「それは分かるんだけど……そもそも、なぜそれをする必要があるのかが分からない」とモヤモヤしてしまう。

このように、「具体的な話しかできないリーダー」も、「抽象的な話しかしないリーダー」も、それぞれに課題があります。

本コラムでは、具体的な話しかしないリーダーがチームにどのような影響を与えるのかを考えてみます。

抽象的な話しかしないリーダーがもたらすメンバーへの影響

抽象的な話ばかりするリーダーの影響

「我々の目指すのは、業界のリーディングカンパニーになることだ!」「もっと生産性を高めよう!」と言われても、メンバーは「で、それって具体的に何をすればいいの?」と困ってしまいます。目標は立派でも、行動の指針がなければ、実際の業務には結びつきません。したがってパフォーマンスも上がらない(出せない)ことが慢性的に起こりやすくなります。

部下は「で、結局何をすればいいんですか?」と聞きたくなる気持ちになるのではないでしょうか。
このようなリーダーのもとでは、部下が自主的に動けず、行動に迷いが生じることが多くなります。

具体的な話しかしないリーダーがもたらすメンバーへの影響

具体的なことしか言わないリーダー

例えば、「この報告書を今日中に仕上げて」「この手順通りに作業して」と、業務の詳細を明確に伝えるリーダーは、一見すると頼りがいがあり、仕事がスムーズに進みそうです。しかし、そこに「なぜそれをするのか」という意図が含まれていないと、部下は「言われたことをこなすだけ」になってしまいます。

仕事の意味を理解しないまま指示に従うと、思考が停止し、「言われたこと以外はしない」姿勢が生まれがちです。また、状況が変わった際に柔軟に対応できず、「このやり方でいいのか?」と迷うことも増えます。結果として、創意工夫や主体的な判断力が育ちにくい環境になってしまいます。

具体的な内容はそのことを理解するにはわかりやすい。しかし、目標や目的、意図や意義などが伝わりにくい

具体的な指示は明確で分かりやすいですが、その背景にある「なぜやるのか」「どういう意図があるのか」が伝わらないと、仕事が単なる作業になってしまいます。

例えば、同じ「お客様対応のスクリプトを使って接客して」と言われるのでも、

  • 「このスクリプトを使うと、対応のばらつきを減らせて、お客様に安心感を与えられる」と言われるのと、
  • 「これを使っておいて」とだけ言われるのとでは、

受け取る側の意識が大きく変わります。

目標や意図が明確になれば、メンバーは自分の役割を理解し、主体的に動きやすくなります。リーダーとしては、「具体」と「抽象」のバランスを意識し、全体の目的を伝えつつ、行動指針を具体的に示すことが求められます。

最近、よく目にする「具体的」に偏りがちな場面

リーダーが具体的な話しかしないと、目の前の業務は進みますが、部下は「何のためにやっているのか分からない」と感じることがあります。反対に、抽象的な話しかしないと、目標は壮大でも「どう動けばいいの?」と戸惑いが生じます。

大切なのは、その場に応じて「具体」と「抽象」を使い分けること。「この業務の目的は〇〇です。そのために、△△の作業が必要になります」といった形で、目的と手段をセットで伝えると、部下の理解が深まり、主体性も育ちやすくなります。そして、一定期間が来たら、目的を伝え、ゴールを共有し、手段を委ねる、といった感じで徐々に任せていく過程へ進んでいきます。

リーダーシップとは、単に指示を出すことではなく、チームの視点を広げ、意味を持たせること。
ぜひ、「なぜ?」を意識した伝え方を試してみてください。

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marco

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