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自分の中で生まれた感情に対処しきれない時

こんなことはありませんか?

会議で自分の意見が否定されて腹が立ったのに「私は大丈夫です」と笑顔で答えてしまう。
部下のミスに怒りを感じたけれど、「感情的になってはいけない」と自分を抑え込む。
プロジェクトの失敗に悲しみや後悔があるのに、「次に活かせばいい」と無理に前向きになろうとする。

わたしは、負の感情を抱くことをどこか「弱さ」と捉えてしまっていた時期がありました。
その時期は、前段のようなことが頻発していました。
特に仕事の場では、「冷静であること」がリーダーとしての美徳だと信じていた時期もありました。

あるとき、大切なプレゼンで大きな失敗をしてしまったことがあります。
緊張のあまり資料の順番を飛ばしてしまい、質問にも上手く答えられず…。オフィスに戻ってから、内心は崩れ落ちそうでした。「でも、リーダーなんだから…」と自分に言い聞かせ、誰にも本当の気持ちを話せないまま帰宅。夜中にふと目が覚め、自己嫌悪に包まれたこと。鮮明に思い出せます。

まずは自分が受け止めるもの、と教えてもらった

感情とは、まずは自分が受け止めるもの。
理屈でも、理想でもない。それができることから始まる。

と、メンターに教えてもらったことがあります。

私たちはつい、「こうあるべき」という理想像に縛られがちで、
特にビジネスの場では、「冷静で合理的な判断ができる人」が評価される傾向があります。でも、人間である以上、感情を抱くのは自然なことです。それを理屈で押し殺そうとすると、どこかに無理が出てしまう。

実は、あのプレゼン失敗の後、信頼しているメンターに弱音を吐きました。すると、彼はこんなふうに言ってくれたのです。

「感情を感じることと、感情に振り回されることは違う。まずは、自分の感情をそのまま受け止めること。それからだよ」

わかったような、わからないようなその一言でしたが、
その後、少しずつ、自分の感情と向き合うようになりました。

「今、私は悔しさを感じているな」「この状況に不安を感じているな」と、まずは受け取る。
(この受け取るってのもかなりの難易度でしたが😰)

とはいうものの、受け取ることができると、不思議なくらい、感情の波が少しずつ静まっていく感覚がありました。

どの感情も自分の一部

醜いと感じている感情も、爽快に感じられる感情も、どちらも私の一部。
良い・悪いではなく、すべてが自分自身です。

私たちはつい、感情に「善し悪し」をつけたがります。
達成感や喜びは歓迎する一方で、怒りや嫉妬、恐れといった感情は「醜い」「持つべきではない」と判断してしまう。

以前、ある方と話しているときの話題です。
「最近、若手がどんどん活躍していて、正直、嫉妬しています。こんな自分が情けなくて…」
私はこう尋ねました。「その嫉妬の奥には、どんな思いがあるのか、伺ってもいいですか?」
少し間を置いて「本当は、今でも挑戦したい。でも、失敗が怖い。今の立場を失いたくないという気持ちもある」とお答え下さいました。

嫉妬という感情の背後には、「成長したい」「挑戦したい」という前向きな欲求と、「安定を守りたい」という現実的な感情が同居していたということでした。

これを「肯定的意図」と言います。

まずは受け止める。そこから始まる。

受け止める? そう、受け止める。

感情を受け止めることを「感情を抱きしめる」という表現をした方がいました。
「感情を抱き締める」とは、具体的にどうすることでしょうか?

■自分が今、どんな感情を抱いているのかを認識すること
例えば、「これは怒りだな」「これは不安だな」と名前をつけてあげることです。
そして、その感情を「良い・悪い」とジャッジせず、ただ観察する。

あるリーダーシップ研修で、参加者に「今日1日で感じた感情をすべて書き出してみましょう」と提案したところ、ある方が言いました。「こんなに多くの感情を一日で感じていたなんて驚きました」と。

感情を意識的に観察することで、自分自身への理解が深まり、その後の選択がより自由になります。怒りを感じたまま相手に伝えるのか、時間を置いてから伝えるのか、あるいは他の形で対処するのか。感情を認めることで、行動の選択肢が広がるのです。

今の私は、大事なプレゼンの前に緊張や不安を感じたら、こう思うようにしています。「ああ、今、悔しくてしょうがないんだな。ということは、それはなんとしても成し遂げたいと思っている価値あるものなんだな」というように。以前のように押し殺すより、ずっと健やかに向き合えるようになったと思います。

ビジネスの場でも、感情を味方にすることは決して甘えではありません。むしろ、それは本質的な問題解決や人間関係の構築において、大きな力になります。

まずは、自分の感情を抱きしめることから。それが、自分らしいリーダーシップを築くための第一歩なのかもしれません。

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marco

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