
「つい口を挟んでしまう」経験、ありませんか?
部下の報告中に「あ、それ知ってる!」と話を遮ってしまった。会議で同僚の発言に「でも、要はこうでしょ?」とつい割り込んでしまった。──思い当たることはありませんか?
わたしの場合、熱が入るとつい相手の話を途中で拾いにいってしまう癖がありました。
ある日、先生(当時は学生だった)から「話は魅力的。でも、もう少し”相手の話を聞く余白”があると、もっと伝わると思うよ」と言われて、初めて人の話を遮ってまで自分の話をしていることを自覚しました。ハッとしました。
良かれと思っていた言動が、相手の言葉を奪っていたのかもしれない。
社会人いなってから思うのは、
特にリーダーの立場にいると、自分では気づかないうちに、チームメンバーの「言いたいこと」を封じてしまっていることがあるんですよね・・・。
どうして私たちは、会話を遮ってしまうのか?

遮ろうとしているわけではないのに、なぜか相手の言葉にかぶせてしまう・・・
この現象にはいくつかの心理的背景があります。
- 早く結論を出したい
ビジネスの現場では「結論ファースト」が求められることも多く、つい先回りして要点を引き出したくなってしまいます。「聞かなくても、もうだいたい分かった」と感じると、次に進みたくなるのです。
- 自分のアイデアを早く伝えたい
良いアイデアが浮かんだとき、「忘れないうちに言いたい」という気持ちは誰にでもありますよね。でも、その一言が、相手の思考の流れを断ち切ってしまうこともあるのです。
- 存在感を示したいという欲求
無意識のうちに、「貢献している」と感じたくて発言していることもあります。とくに会議では、「沈黙=何もしていない」と思われたくないという焦りが、遮りの原因になることも。
- 「聴くこと」が難しいスキルである
じつは、黙って聞き続けることって、想像以上に忍耐が必要で(^^;)高度なスキルです。
自分の思考や感情を一旦横に置き、相手に関心を向け続けるには、意識と練習が必要なのです。
どうすればこの癖を直せる?

私が実際に取り組んで効果があった方法を3つご紹介します。
どれもすぐに始められる工夫です。
● メモを取る習慣をつける
「忘れる前に言わなきゃ」という衝動を減らすには、メモが効果的でした。
私は会議中にノートを開き、相手の話のキーワードを書き留めています。これだけで、「今は聞く時間」と自分にブレーキをかけられるようになりました。
● “3秒ルール”を使ってみる
相手が話し終えたように見えても、すぐに話し始めない。例えば、心の中で3カウントする。
これだけで、相手が言い足りなかったことを続けてくれることもあります。
この“間”は、相手との関係における安心感の構築にもつながります。
● 「クラリファイング・クエスチョン」を活用する
「つまり、こういうことでしょうか?」と相手の話を確認する質問をはさむと、相手も「ちゃんと聞いてくれている」と感じますし、自分の理解を深めることにもつながります。
明るい展望!

この習慣が身につくと、まずチームの雰囲気がぐっと良くなると思います!
メンバーは「話してもいいんだ」と思えるようになり、ある程度の期間を要しても、いずれ会議も活発になっていくことが多いのではないでしょうか。(※いくつかの留意点は必要)
「あの人はちゃんと聞いてくれる」とメンバーから思ってもらえることは、リーダーにとって何よりの信頼資産であると思います。
そして、見落としていたアイデアや、想定外の気づきにも出会えるようになります。
以前の私は、「自分の視点だけで結論を出していたな」と、今なら思います。
何よりも、意思決定の精度が上がります。
多様な意見を取り入れたうえで考えるからこそ、より的確で納得感のある判断ができるようになるのです。
「話を最後まで聞く」
それは簡単そうで、実は奥深い行動。
でも、一つひとつの小さな実践が、リーダーとしての信頼と成果に大きな違いを生んでいきます。
あなたの“聞く力”が、チームに新しい風を運んでくれるかもしれません。
