
Doだけ働きは、エネルギーが失われ続ける
「なんだか最近、毎日動いているのに成果が見えないんです」
朝から晩まで予定がびっしり、対応も早い、チームからの信頼も厚い。
それなのに、「充実感がない」「達成感もない」と感じてしまう。
その背景にあるのが、“Doだけ仕事”の落とし穴です(と、わたしは考えています)。
PDCAの中でも、“D”つまり「実行」は、目に見える動きです。
だからこそ、達成感が得やすく、評価もされやすい。
でもその一方で、「やって終わり」になってしまうと、成果につながらないというジレンマを生み出します。
行動することは大事。
けれど、動き続けるだけでは、気づかないうちにエネルギーがじわじわと失われていきます。
かつてのわたしはそうでした。
ふりかえりのない仕事は、同じ失敗を繰り返す
Doばかりが先行してしまう現場では、「ふりかえり」の時間が後回しにされがちです。
あっという間に次の仕事が来て、ふりかえらないまま、また次のDoへ。
そんな毎日を過ごしている方も多いのではないでしょうか。
しかし、C(Check:ふりかえり)が抜けた仕事は、学びのないまま流れていきます。
結果的に、ミスや手戻りが何度も繰り返される。成果が出にくくなる。そして、いよいよ疲弊してくると、「自分は何をしているのだろう」という感覚が残ってしまうのです。
かつてのわたしはそうでした。
これは、決して“努力不足”のせいではありません。
むしろ、“真面目に頑張っている人”ほどこの状態に陥りやすいように思います。
かつてのわたしは努力はするだけ報われる、と懸命に取り組んでいました。
何度も同じミスが起きるチームの話
以前、あるチームのミーティングで、メンバーから「また同じことでクレームが来ました」という報告がありました。その内容は、すでにそのチームで何度も話題にあがっていたものです。共有もされていたはずでした。
なぜまた起きたのか?話を聞いてみると、「忙しかったので、その場で対応しただけで終わっていた」という声が上がりました。つまり、C(Check)もA(Act)もないまま、D(Do)だけで次の案件に移っていたのです。
このように、「やることはやっている」のに、「改善が積み上がっていかない」状況が続くと、チームの士気はじわじわと下がっていきます。上司は「またか」と残念な気持ちになったり、メンバーは「せっかく頑張っても意味がない」と感じてしまう。
ここで大切なのは、「そもそも、ふりかえる時間があったか?」と問い直す視点ではないかと思います。
“忙しさ”を“成果”に変えていく小さなCheckとAct
忙しい現場で、「毎回しっかりふりかえりましょう」と言っても、現実的に難しいこともあります。だからこそ、「小さく、短く」回す工夫が鍵になります。
たとえば、「この仕事が終わったら、3分で感想メモを取る」でもいいですし、「毎週のミーティングで、今週の“気づき”を一言ずつ共有する」でもかまいません。
ふりかえりに正解はありません(断言!)。大事なのは、“手応え”のないDoで終わらせないこと。そして、小さくてもAct(改善)を入れることで、次のDoが変わってくることです。
PDCAは、立派に一周する必要はありません。最初は半周でも、3/4周でもいい。小さくても、「回した」経験が次への学びをつくります。Doの先にCheckとActを入れることで、ただの作業だった仕事が、「成長を感じられる仕事」に変わっていく、その経験がPDCAを支援に回せる過程だと、私は感じています。
忙しい今だからこそ、ちょっとだけ“ふりかえり”を入れてみるのはどうでしょう。
それは、次の一歩のエネルギーになると思います。
