
タスク化の基本スキル
「やらなきゃいけないことは山ほどあるのに、何から手をつければいいかわからない」。
これは、コーチングでもよく耳にするお悩みです。
私自身も、若いころは手帳に「プレゼン資料作成」とだけ書いて、気がつけば締切前夜に慌てていたことがあります。
タスク化のスキルとは、簡単にいえば「やるべきことを、誰が見ても明確な“行動の単位”に分けて整理する力」のことです。頭の中ではぼんやりしている「やること」を、手に取るように“見える化”する。これだけでも、仕事の進み方はずいぶんと変わります。
重要なのは、“タスク”は「思考」ではなく「行動」であるという点です。
たとえば「報告書を考える」ではなく、「A社のデータをまとめる」「前回の議事録を確認する」など、動詞で表すことがタスクの第一歩になります。
タスクを細分化する方法
一つのタスクをいくつかに分けてみると、
気持ちのハードルがぐっと下がることがあります。
たとえば「部下の面談準備をする」というタスク。これをそのままにしておくと、「準備しなきゃ」と思いつつ何をしたらいいかが曖昧になってしまう。でも、「昨年の評価を読み返す」「本人の希望シートを確認」「話すテーマを3つ書き出す」と細かくすれば、あとは順に実行するだけです。
これは、頭の中の“あいまいさ”を取り除いていく作業でもあります。
あいまいなままだと、人の脳は「不明なものを後回しにする」傾向があるそうです。
つまり、曖昧なタスクは“先送り予備軍”になりやすい。
「何をすれば終わるのか」を明確にする。それが、細分化の最大の目的です。
優先順位をつけるコツ
「どれから手をつけたらいいのかわからなくなる」というのも、よくあるご相談です。
そんなとき、私はよく“締切と意味”の2軸で考えてみます。
まずは、締切が近いもの・影響が大きいものから取りかかる。
これだけでも、迷いが減ります。
ただし注意したいのが、「急ぎだけど重要じゃない仕事」に流されがちになること。
メール返信や会議資料の修正などは、すぐ対応した方が良いけれど、そればかりに時間を取られてしまうと、本当に大切な仕事(たとえば、部下育成や戦略立案)が後回しになります。
「急ぎではないけれど重要なこと」をスケジュールに組み込んでおくこと。
これは、未来の自分に向けた“投資の時間”です。
私はよく「明日の自分のために、今日はちょっとだけ頑張っておく」と考えて調整しています。(ちょっとじゃないことも多いけど😰)
時間管理の基本と実践法
タスク化のスキルがあっても、それを“時間の中に収める”スキルがなければ、実行は進みません。
これ、かなり大事です。
時間管理は、スケジュール帳の中だけの話ではなく、自分の集中力やエネルギーの配分も含めての調整です。
たとえば、午前中は集中力が高いので思考系の仕事をする、と決めます。
午後は体力が落ちてくるので、確認作業やメール返信にあてる。
このように、自分の「リズム」に合わせて時間帯を設計することも、ひとつの時間管理です。
また、私は「15分単位で動く」と決めている時間帯を一日につくるようにしています。
「今はこのタスクに集中」と枠を決めると、あれこれ手を出す癖が減るように感じます。
タスク化は、ただの“効率化”の手段ではありません。
思考の曖昧さに気づき、自分の行動に主体的になることが、その本質ではないかと思います。
「なんだか最近、毎日追われてるな…」というときこそ、タスクを“見える形”にしてみる。そこから、自分の行動が少しずつ変わっていく感覚を味わってみるのも、悪くない時間になるのではないか、と思っているのです。
