
安定して見える人も、波の中で生きている
社内の会議で突然の意見対立。
雰囲気が一気に張り詰め、誰もが一瞬、息を呑んだような空気になります。
そんな中、いつも冷静で穏やかなあの課長が口を開くと、不思議と場が落ち着いてくる…。
こんな場面、経験されたことはないでしょうか。
私もそのひとりで、かつては「感情を抑えるのが大人」と信じていました。
でも、安定して見えるあの人たちも、感情の波がないわけではない。
ただ、その「波とのつきあい方」がとても上手。
怒りや不安が起きても、それをなかったことにするのではなく、自分の中にちゃんと受け止めてから、言葉や行動を選んでいる。
これを「感情を“扱う”」ということなのだと思うようになりました。
感情はコントロール「できる」社会的スキル
感情は本来、人間にとって自然な反応です。
「怒り」「悲しみ」「焦り」…どれもが私たちの大事な一部。
でもそれらが仕事に支障をきたすほど強く出てしまうと、周囲との関係や判断力にも影響します。
そして、とても大事なのは「感情をなくす」ことが理想ではないということ。
むしろ感情は、適切に“扱えば”自分の内面を深く理解し、他者ともより良く関われる鍵になるのです。
感情を扱うスキルとは、「自分が今どんな状態なのかを把握する力」と「その状態に応じて適切な行動を選ぶ力」。確かになかなか難しい。私も、日々直面している課題。
ただ、これは、特別な才能ではないということはわかってきました。
意識と訓練で磨くものだ、とわかってきた。。。
そして、日々のちょっとした気づきや振り返りが、このスキルを育ててくれることもわかってきました。(でも、まだ発展途上中σ^_^;)
私が見た「怒らない課長」の知られざる習慣
私が知っている「いつも冷静な課長」の話です。
彼のすごさは、決して怒らないことではなく、怒りそうな場面での対応の「切り替え力」でした。
例えば、部下が大きなミスをし、プロジェクトに支障が出る場面がありました。
私は正直、厳しい叱責が飛ぶのではと身構えていました。
しかし彼は、少しの間の後で「今、一番必要なことをしよう。まず対策を一緒に考えよう」と
ゆっくりと話しました。
この時私は、かつての上司を思い出しました。
何かあったらすぐ顔を真っ赤にして、イライラと強い口調になる人でした。
(すごい!と思った人を目の当たりにすると、正反対の思いを抱いた人が蘇る
という毎度のことながら不思議なまるこの現象)
後で話を聞くと、彼には「感情が揺れたときに閉じて呼吸を意識する」習慣があるとのこと。
それをお聞きして、その間に「怒りたい自分」もちゃんと受け止めて、そこから一歩引いて意識が冷静になっているのだろうな、と感じました。
感情の波と上手につきあうことで軸のぶれない自分へ
人間である以上、感情の波は避けられません。
でも、その波を無理に抑え込むのではなく、かといってぶつけるのでもなく
上手につきあうことができれば、全く違う新しい世界が見えてくるでしょう。
大切なのは、「今、自分は感情的になっているな」と気づくこと。
そして、その状態に気づいた自分を責めないこと。
そして、前を向くこと。
これは、ビジネスだけでなく人間関係全般に役立つ視点です。
軸のぶれないリーダーとは、感情を感じない人ではなく、揺れる自分を認めつつ、それでも最善の行動を選べる人なのかもしれません。そしてそれは訓練でできるようになる。
そう思うと、「私には無理」と思っていたリーダー像にも、ちょっと近づけそうな気がしてきませんか?
感情を抑えるのではなく、扱う。
それができる人が増えれば、きっと職場の空気も少しずつ穏やかになっていくことでしょう。
