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コーチングは部下育成に効果的か?第3回目

コーチングの進め方と1on1のコツ

コーチングの効果を実感するためには、やり方を知ることが大切です。
「聞けばいいんですよね?」「褒めればいいんですよね?」という声をよく聞きますが、
それはそうではありません。

コーチングは、相手を理解しようとする「姿勢」そのもの。
今日は、その進め方と、日常で活かせる1on1のコツについてお話しします。

目的の明確化

まず大切なのは、目的を明確にすることです。
コーチングをするからには、「何のために対話するのか」を共有しておきましょう。
単なる業務確認ではなく、「相手が考えを整理する時間」「気づきを得る時間」にすることが目的です。
たとえば、「今の仕事をより良くするにはどうしたらいいか一緒に考えよう」と伝えるだけでも、対話の意味が変わります。
目的がはっきりすると、上司の質問も自然に的を絞ったものになります。

目標設定

次に重要なのが、目標設定です。
コーチングではSMART(Specific, Measurable, Achievable, Relevant, Time-bound)という考え方がよく使われます。
具体的で、測定可能で、実現可能で、関連性があり、期限がある目標。
たとえば「もっと営業力を上げたい」よりも、「来月の商談で自分の提案を5件出す」といった形の方が行動につながります。
上司が目標を決めるのではなく、部下自身が決めることが大切です。
自分で決めた目標には、責任感とやる気が伴うからです。

聴くこと

コーチングの場面で欠かせないのが「聴く姿勢」です。
ただ黙ってうなずくことが“聴く”ではありません。
相手の言葉の裏にある思いや背景に耳を傾けることが本当の意味での“聴く”です。
沈黙が流れたときに慌ててアドバイスをしてしまうと、部下の思考を奪ってしまいます。
少し間を置いて、「それはどうしてそう思ったの?」と尋ねてみる。
その一言が、相手の気づきを深めるきっかけになります。
沈黙を恐れずに、考える時間を一緒に過ごすことも、上司に求められるコーチングスキルのひとつです。

定期的な1to1

そして、1on1ミーティングでは“定期的に行う”ことが効果を左右します。
忙しい時期ほど後回しになりがちですが、月に一度でも「この時間はあなたのため」と確保することが信頼関係をつくります。
話す内容は、成果や課題だけでなく「最近どんなことに興味がありますか?」「今の仕事で一番やりがいを感じるのは?」といった、感情や価値観に触れるテーマを含めると良いでしょう。
相手が「この人は自分を一人の人間として見てくれている」と感じることで、関係が深まります。
1on1の目的は、評価や指導ではなく“理解と支援”です。
ここを取り違えると、ただの面談になってしまいます。

フィードバック

フィードバックも大切な要素です。
効果的なフィードバックのポイントは、まずポジティブな点を伝えること。
「ここが良かったね」と具体的に言葉にすることで、相手の自己効力感が高まります。
その上で、「次にもっと良くするにはどうすればいいと思う?」と質問を添えると、前向きな改善意欲を引き出せます。
指摘ではなく、気づきを促す。
それがコーチング的フィードバックの基本です。

小さなことも見逃さない

コーチングを継続する上で意識したいのは、「小さな変化を見逃さない」ことです。
すぐに成果が見えなくても、部下の言葉づかいが少し変わったり、報告の仕方が整理されてきたり。
そんな小さな変化を見つけて「前よりも考えて話しているね」と声をかけることが、次の行動への原動力になります。
コーチングは、種をまいてから芽が出るまでに時間がかかるもの。
焦らず、信じて、見守ることが大切です。

目指すは「完璧」ではない

最後にもうひとつ。
上司自身が完璧でなくていい、ということはとても重要です。
「コーチングなんてうまくできない」「質問が浮かばない」と感じる日もあります。
それでOKだと、わたしは思っています。

完璧な質問よりも、「あなたの話を聴きたい」という気持ちが伝わるほうが、力になることが多いのがコーチングの実際です。
コーチングは技術ではありますが、結局は人と人との関係の中で育つもの。
上司が「教えなければならない人」から「一緒に考える人」へと変わるとき、
職場は少しずつ温かくなっていきます。

次回は、コーチングを行う上での落とし穴や注意点についてお話しします。
どんなに良い手法でも、使い方を誤ると逆効果になることがあります。
そのポイントを、具体的に見ていきましょう。

この記事を書いた人

marco

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