ラボラトリーメソッドワークショップ四日目

二日目のワークショップは、予定されていた５時間のプログラムを終え、一区切りを迎えました。
正直に言えば、その時点では「よく分からなかった」という感覚が強く残っていました。

ところが、この日の学びは、そこでは終わりませんでした。

アフタープログラムという名の、もうひとつの時間

ワークショップ終了後、アフタープログラムとして、約１時間半のふりかえりの時間が設けられました。
その場では、スーパーヴァイザーがファシリテータ役を担っていた……と思います。
少なくとも、場の進行と問いの扱いは、それまでと違っていました。

テーマは、５時間のプログラム全体のふりかえり。
とくに、ファシリテータのファシリテーションそのものが、主な焦点でした。

わたしは、前回のコラムに書いた内容・・・
体験と問いのズレ、循環過程に沿っていないように感じた構造、
そして参加者として抱いた迷いや違和感、
それらを、そのまま言葉にして共有しました。

他のメンバーも、それぞれに感じたことを共有しました。

興味深かったのは、
わたしとは違う受け取り方をしている人が、少なからずいたことです。

「違和感は特に感じなかった」
「別の視点で見ると、こう感じた」

そんな率直な開示や視点の提供が続き、
場は、誰かの感じ方を正解にすることなく、
複数の体験が並んで置かれる時間になっていました。

その時間そのものが、少し不思議で、そして心地よくもありました。

思いがけず語られた、歴史と倫理

個人的に、もっとも驚いた出来事がありました。

スーパーヴァイザー的な立場のファシリテータが、
このワークショップのテーマである
「ラボラトリー方式による体験学習」について、
その変遷の歴史を、少しですが要点を押さえて解説してくれたのです。

実は、わたしはその人から、
「自分は論理的に説明するのが苦手だから、しない」
という言葉を、以前に聞いたことがありました。

実際、その方が理論をレクチャーする場面を、
これまであまり見たことがありません。

だからこそ、わたしは少し残念に感じていました。
知識は、体系化されていなければ、後覚者や未覚者には受け継がれないからです。

かつてのわたしは、
それをその人に求めることはできないと考え、
文献を探し、大学の研究センターで講義を受け、
手探りで学びを積み重ねてきました。

膨大な時間がかかりましたし、
今も、分からないことは残っています。

そのレジェンドが、解説のあとで、
「こうしたことを、ちゃんと知っておくことも大事だ」
と口にしたとき、
それは、知識の話であると同時に、
一種の倫理観のようにも聞こえました。

理論を語らない人から、その言葉を聞けたことが、
わたしには、とても嬉しかったのです。

この日に、心に決めたこと

その瞬間、わたしの中で、はっきりと芽生えた思いがありました。

自分が知っていることを、体系化し、
誰かに受け継げる形にできたら、
どれほど社会に貢献できるだろうか。

たとえ、わたし自身が直接できなくても、
受け継いでくれた人が、さらに誰かに伝えていける。
そんな道筋を、つくりたい。

この日、わたしには、人生の新たな目標ができました。

停滞の中に、光が差し込む

ここ数年、わたしは停滞していました。

やる気も、希望も、
以前のような情熱的で行動的なものではなく、
ある意味、「いかに収束していくか」に、目が向いていました。

心のどこかでは、
それはまだ早いのではないか、
何かが違うのではないか、
そう思いながらも、行動は収束していく。

そのズレが、ずっと、モヤモヤとして残っていました。

けれど、このアフタープログラムを経て、
そのモヤモヤが、少し晴れてきた気がしています。

まだ、時間はかかるかもしれません。
けれど、残りの人生を賭けたいと思える目標に、
ようやく手が届いた――
そんな感覚が、静かに残っています。

まるこのファシリテータ体験記