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良かれと思った1to1が逆効果になる瞬間

—「教える対話」から「考える対話」へ—

「1to1をやっています」
そうお聞きする機会が増えました。

定期的に時間を取り、部下の話を聞く。
とても大切な取り組みだと思います。

けれども現場では、ときどきこんな声も聞こえてきます。

「話しやすいはずなのに、本音が出てこない」
「1to1のあと、なぜか元気がなくなる」
「アドバイスしているのに行動が変わらない」

丁寧に関わっているのに、関係が深まらない。
そんな違和感です。

そこには、ある“瞬間”が潜んでいることがあります。

良かれと思って「教えてしまう瞬間」

1on1でよく見られるのが、こんな流れです。

部下が悩みを話す

上司が理解を示す

助けようとして助言する

とても自然で、善意に満ちた関わりです。

ただ、このとき対話の重心が
「本人が考える場」から
「上司が教える場」へ
静かに移ってしまうことがあります。

すると部下は、いつのまにか

「正解をもらう時間」
「評価される時間」

として1on1を経験するようになります。

ここが、逆効果に転じやすい分岐点です。

教わったことは、行動になりにくい

アインシュタインはこう語ったとされています。

教育とは、事実を学ぶことではない。
考える力を鍛えることである。

この視点から見ると、1to1の価値も少し違って見えてきます。

助言そのものが悪いわけではありません。
ただ、人は「自分で考えたこと」ほど行動につながります。

経験学習の研究でも、
人が変化するときは

体験

意味づけ

自分なりの理解

という内側のプロセスが起きています。

もし1to1で意味づけを上司が担ってしまうと、
本人の学びは浅くなります。

「わかりました」と言いながら、
内側ではまだ納得していない状態です。

ちなみに、わたしはこの手の「その場逃れ」をすることがよくあります・・・・

1to1が重くなる理由

もう一つ、見逃されやすいことがあります。

1on1は多くの場合、
部下にとって「評価者との対話」です。

そこに助言や方向づけが入ると、
部下は無意識にこう感じます。

「正しい答えを出さないといけない」
「期待に沿わないといけない」

すると対話は探索ではなく、
適応の場になります。

安全に見えて、実は自由に考えられない。
そんな状態が起きます。

逆効果を生まない1on1の質

では、何が違いを生むのでしょうか。

それは内容よりも、対話の役割です。

上司が意味を与える対話
ではなく
本人が意味を見つける対話

ここに重心を置くことです。

たとえば助言の代わりに、

「あなたはどう見ていますか」
「どこが難しいと感じていますか」
「どうなれば前に進めそうですか」

と問いを置く。

すると部下は、自分の経験を材料に考え始めます。
この瞬間に、学びが自分のものになります。

1to1は「考える力」を育てる場

アインシュタインの言葉に戻ると、
教育とは思考の訓練でした。

1to1も同じかもしれません。

助言で問題を解決する時間ではなく、
本人が自分の経験を理解し直す時間。

そう考えると、1to1の役割は
「導く人」ではなく
「考える場を支える人」へと変わります。

良かれと思った関わりが活きるとき

上司が助けたいと思う気持ちは、
関係の土台としてとても大切です。

ただ、その善意が
「教えること」ではなく
「考える余白を守ること」に向いたとき、

1to1は学びの場になります。

人は、経験から学びます。
そして、自分で意味づけた経験は、
次の行動を生みます。

1to1が逆効果になる瞬間は、
教えることが中心になったとき。

1to1が力になる瞬間は、
考えることが中心になったとき。

その小さな違いが、
対話の質を大きく変えていきます。

対話の時のコツは、
・部下が話している途中に割り込まないこと
・部下の話の後にすぐ、猛烈な勢いで話しはじめないこと
この2つを、試行策としてご紹介させていただきます。

この記事を書いた人

marco

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