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価値観に従って、うまくいくこともあれば、失敗することもある

大切なのは「何を信じるか」だけでなく、「どう扱うか」

価値観は、行動の軸になります。
だからこそ、価値観に従って動くことは、多くの場合、その人らしさや組織らしさにつながります。
ただし、ここに少しやっかいな面もあります。価値観に従ったからといって、いつもよい結果になるとは限らないのです。

長い目で見てみる

たとえば、「責任感」を大事にしているマネージャーがいたとします。
その人は、部下や顧客のために、できる限りのことをしようとします。困っている人がいれば引き受け、抜け漏れがないように細かく確認し、多少無理をしてでも期待に応えようとします。
一見すると、とても望ましい姿勢です。実際、短期的には高い評価を受けることも多いでしょう。

けれど、その価値観が行き過ぎるとどうなるでしょうか。
何でも自分で抱え込み、部下に任せられず、休むことにも罪悪感を持ち、結果として疲れ切ってしまう。
しかも、組織が強制的で余白の少ない風土であればあるほど、こうした人ほど消耗しやすくなります。

ここに、価値観に従って「失敗する」例があります。
失敗というと語弊があるかもしれませんが、本人のよかれと思っている行動が、長い目で見ると自分も周囲も苦しくしてしまうのです。

研究でも、倫理的に高い基準を持ち、まじめに実践しようとする人ほど、情緒的な消耗を起こしやすいという結果があります。
つまり、組織にとって大事な人ほど、すり減りやすい。
なんとも切ない話ですが、現場では珍しくありません。

うまくいった例

一方で、価値観に従うことで「成功する」例もあります。
たとえば、「自律性」や「挑戦」を大切にするリーダーがいるとします。
この人が、単に自由放任になるのではなく、「自分で考え、試し、そこから学ぶことを大切にする」という形で行動基準を示せると、チームには大きな学習効果が生まれます。

失敗しても責めるのではなく、早めの共有を促す。
自分で判断してよい範囲を明確にする。
うまくいかなかったときも、「何が学びだったか」を対話する。
こうした関わりがあると、価値観はきれいごとではなく、行動の土台になります。

また、「誠実さ」を重視するチームが、問題を隠さず早めに共有する文化をつくれた場合、短期的には耳の痛い話が増えるかもしれません。
けれど、長期的には信頼が積み重なり、大きな事故や不正を防ぎやすくなります。
これも、価値観に従ってうまくいく例です。

🔻YouTubeでもお話をさせていただきました

価値観をどう扱っているか

では、成功と失敗を分けるのは何でしょうか。
それは、価値観そのものの良し悪しではなく、価値観をどう扱っているかです。

ひとつは、価値観が単独で暴走していないか。
責任感が過剰になると抱え込みになりますし、調和の重視が強すぎると、必要な対立を避けるようになります。
また、成果を重んじる姿勢が強すぎると、人を疲弊させてしまいます。

もうひとつは、その価値観を支える組織風土があるかどうかです。
同じ価値観でも、自由で活気のある職場では前向きに機能しやすく、強制が強く息苦しい職場では、かえって人を追い詰めることがあります。

たとえば、高い倫理観を持つ人が、「お客さまのために正しくありたい」と思っていても、上からの圧力が強く、異論を言えない職場では、その人の価値観は力を発揮できません。
むしろ、言えない苦しさだけが増していきます。

だからリーダーは、価値観を語るだけでは足りません。
その価値観に従って行動したとき、報われるのか。
それとも、損をするのか。
そこまで見ておく必要があります。

人を導く力

部下は、案外よく見ています。
「誠実に報告した人が叱られた」
「丁寧に育成した人より、数字だけ出した人が評価された」
こうしたことが続けば、どんな立派な価値観も、あっという間に形だけになります。

価値観は、人を導く力があります。
ただし、その力は、扱い方を間違えると、人を縛る力にもなります。
ですからリーダーには、「何を大切にするか」を示すだけでなく、「それをどう生かすか」まで考えることが求められます。

価値観に従って成功する組織は、価値観を行動に変え、その行動がきちんと守られる環境をつくっています。
反対に、価値観に従って失敗する組織は、よい言葉を掲げながら、それを実践する人を支えられていません。

結局のところ、価値観は、掲げた瞬間よりも、使われた瞬間に本当の意味を持ちます。
その価値観が人を生かすのか、すり減らすのか。
そこに、リーダーの腕の見せどころがあるのだと思います。

この記事を書いた人

marco

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