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「正しさ」と「優しさ」のトレードオフを超えて

「優しく接すると、成果が甘くなるのではないか?」
「成果を求めると、どうしても冷たくなってしまうのではないか?」

前回、心理的安全性」を作ることで、理屈を「攻撃」から「貢献」に変える話をしました。
今回は、私たちの心に深く刻まれた「トレードオフ(二律背反)の呪縛」です。

「正しさ(論理・P)」と「優しさ(配慮・M)」は、あちらを立てればこちらが立たずの関係にあると思い込んでいないでしょうか? 最終回の一つ前となる今回は、三隅二不二氏のPM理論が示す「統合」の真髄に触れ、私が目指すべき「PM型リーダー」の姿を明確にします。

「鬼軍曹」か「いい人」か、という誤解

リーダーシップの悩みを聞いていると、多くの人が極端な二択に揺れています。

成果重視の「鬼軍曹」(Pm型): 厳しいけれど成果は出す。しかし、人は疲弊し、離れていく。
人間関係重視の「いい人」(pM型): 職場の雰囲気はいいけれど、ぬるま湯で、成果が出ない。

過去、私は、pM型(いい人)になることを恐れるあまり、Pm型(理屈っぽい鬼軍曹)に振れていました。逆の時もありました。(色々悩んでいたわけですが・・・)
Pm型の時は「優しさは甘えだ」「論理的な正しさこそが正義だ」と信じ込み、M機能を切り捨てていたのです。

さて、PM理論のデータが示す真実は、この二択ではありません。 P(目標達成)とM(集団維持)は、「足して100になる関係(トレードオフ)」ではなく、「独立した2つのエンジン」です。

PとMは「掛け算」で機能する

第9回でも触れましたが、三隅二不二氏はPとMの関係を「相互作用」として説明しています。 ここで重要なのは、「M機能が高まることで、P機能の質が変わる」という点です。

Mがない時のP: 「ここが間違っています(指摘)」→ 相手には「攻撃」として伝わる。
Mがある時のP: 「あなたの成長を信じているからこそ(M)、ここを修正してほしい(P)」→ 相手には「指導」として伝わる。

つまり、M機能(優しさ・配慮)は、P機能(厳しさ・論理)を弱めるものではありません。むしろ、相手が厳しい指摘を受け入れ、消化するための「胃薬(この例えは大丈夫かな)」のような役割を果たします。 胃薬(M)があるからこそ、栄養価の高い、しかし消化の重たいステーキ(P)を食べて、血肉に変えることができるのです(この例えも、イマイチのような・・・)。

「PM型」とは「愛のある厳しさ」を持つこと

PM理論における理想のリーダー像「PM型」とは、PもMも高い状態を指します。
これは、「たまに厳しく、たまに優しくする(バランスを取る)」こととは少し違います。
「高いM(信頼関係)を土台にして、高いP(高い要求)を突きつけること」です。

例えば、わたしがしていたことがある理屈を封印してニコニコするだけの「いい人」になることではありません。 「あなたなら、もっと論理的に深く考えられるはずだ」と信じ、相手の思考を極限までストレッチさせるような「問い」を投げること。 (これが案外、わたしには難しい)そして、そのプロセスで生じる摩擦や不安を、全力で受け止める(M機能)こと。

これこそ、
私の「理屈っぽさ(論理的思考力)」を、相手のために最大活用する「統合されたリーダーシップ」の形なのかもしれません。理屈っぽいのは嫌だけど。

論理は「正しさ」の証明ではなく、「幸せ」のためにある

私は論理を「自分の正しさを証明する道具」として使ってきたのだ、と自分をふりかえっています。
その上で、これからは、論理を「大切な人たちと、より良い未来(ゴール)にたどり着くための地図」として使いたいと思います。

地図(論理)は正確であれば、それに越したことはない。
とはいうものの、一緒に歩く仲間(M)がいなければ、目的地についても一人ぼっちです。
「正しさ」よりも「楽しさ」や「幸せ」のために論理を使う。
それが大事。

ここまで、あれこれと考察しましたが、「理屈っぽい私」と仲直りして、切り離すというよりも、良い形で表出したり、周囲の良い影響になれたりする具体的な試みも手に入れました。

そろそろこのテーマも、最終回を迎えたいと思います。
明日はこの一連の変容のプロセスをふりかえって未来へ綴ります。

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marco

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