
リーダーとしての成長を続けるために必要なこと
リーダーの成長は、“学びを止めない”姿勢にある
「もうこれで十分」と思った瞬間から、リーダーとしての成長は止まり始める.
そんな言葉を、知り合いの社長さんから聞いたことがあります。
たしかにリーダーは、部下からの信頼や実績が積み上がってくると、「もう学ばなくてもなんとかなる」と感じてしまうことがあります。でも、実際には“今のまま”でうまくいく状況の方が珍しいものです。
私が出会ってきた、チームを支え続ける上司たちに共通していたのは、「自分はまだ伸びしろがある」と考えていたことでした。立場が上がれば上がるほど、求められるものは変わりますし、チームも環境も動いていきます。そんな変化の中で、リーダー自身が学びを止めない姿勢でいることこそが、チーム全体の柔軟性と前向きさを支える土台になるのだと、私は学びました。
環境が変わるからこそ、“いつものやり方”は通用しなくなる
数年前と比べると、働く環境はずいぶん変わりました。
オンライン会議が当たり前になり、世代や価値観も多様化しています。
わたしもなんとか、そうした環境に変化に対応しながら仕事をしていますが、
実際の管理者の方々からは「これまではうまくいっていたのに、最近うまくいかない」という声をよく聞くようになりました。「もう通用しない」「どうすれば良いのか」と不安を感じる声もよく耳にします。
これは、やり方が間違っているというよりも、「時代の変化に気づけていない」だけのことも多いようだと思いました。たとえば、以前は“言えば動いてくれる”部下が多かったのに、今は“納得しないと動かない”部下が増えている。指示の出し方、関わり方、そしてフィードバックの仕方も、少しずつ更新していく必要があるのかもしれません。
「昔ながらのやり方に戻したい」と思う気持ちが出てくるのは自然なことです。
とはいうものの、その気持ちに留まってしまうと、チームの成長も止まってしまう。だからこそ、リーダー自身が「自分のやり方は今も通用するだろうか」と問い直してみることが、大事なのだろうと思っています。
「20年目のベテラン課長」が学び直して、チームが変わった話
コーチングを通して知り合った20年目のベテランさん(課長色)の話は印象的でした。
長く現場で活躍してきたその方は、「いまさら学ぶことなんてないと思っていた」と言いながら、後輩や部下との関係にずっと悩みを抱えていたそうです。「自分は部下の話を聞いているつもりだった。でも、研修でフィードバックを受けて、自分の“聞き方”がずっと一方的だったとしり凹みました」と話してくれました。
そこから、その課長さんは自分の関わり方を「少しずつ」変えていくことにしました。たとえば、会話の主導権を握らないように気をつけたり、相槌を意識してたくさんするようにしたり、最初に質問から入るようにしたり、など。後輩や部下が話す時間を意識的に増やしたりする工夫を重ねました。こうした草の根活動のような小さな試みを一年継続(コーチングは一年間このテーマでした)。
結果的に、一年後の彼は満足した様子でした。喜びを言葉にして伝えてくれました。
この経験はその方にとって「学び直すのに遅すぎることはない」という学びだったのだそうです。
私は胸が熱くなりました。
学び続ける姿勢ってすごい!
リーダーが学び続けている姿勢は、後輩や部下にとって大きなメッセージになります。
「自分も変化しよう」と感じる部下は、きっと少なくないはずです。
リーダーは完璧である必要はなく、「変わろうとしている」「知ろうとしている」姿勢が、チームの風向きを少しずつ変えていくのだと、得心したケースでした。
もちろん、リーダーである私たちも人間ですから、迷ったり、つい昔のやり方に戻ってしまったりすることもあります。でもそんなとき、「リスタートだ」と思える柔らかさを持ち続けていたいものです。
私はこれからも、そんなリーダーの方々と一緒に、悩んだり考えたりしながら、学び続けていけたらと思っています。わたしも、いつもリスタートできる柔軟さを持って、仕事をしていきたい、と取り組んでいます。
