
フロントメンバーに多いタスク管理の問題とは?
企業の窓口となるフロントメンバーは、まさに“職場の顔”。
来客対応、電話応対、社内からの頼まれごとに加えて、自分の担当業務も進めなくてはなりません。
そんなマルチタスクな環境の中でよく聞こえてくるのが、「やることが多すぎて、どれから手をつければいいかわからない」という声です。
これは「仕事ができない」ということでは決してありません。
例えば、気配りができて、頼まれたら断れず、つい“いい顔”をしてしまう人に多い悩みに「自分の仕事が後回しになり、結果的に仕事が回らない」という状況に陥りやすい、などがあります。この例では、仕事ができないのではなく、自分の仕事に着手できない状況を自分で作っている、と言っても良いかもしれません。
仕事の管理が苦手なフロントメンバーの特徴
「優先順位がつけられない」「突然の依頼に弱い」「完了したかどうかが自分でもわからなくなる」。フロントで働く方の中には、こんなふうに自分のことを話される方もいます。
特徴として見えてくるのは、「見える化」より「感覚」に頼りがちな傾向です。
例えば、「あとでやろう」と思ってそのまま忘れてしまったり、
頭の中でタスクを管理しているため、急な割り込み作業で抜け漏れが発生する
というようなケースです。
また、「メモをとっても、どこに書いたかわからなくなる」などん声を聞いたこともあります。ツールの使い方が定まっていないケースもあるようです。
一方で、「きちんとやろう」「完璧にしたい」という意識が強いため、自分の中でうまくいっていないことを責めてしまい、落ち込んでしまう方も少なくありません。
フロントチームでのタスク管理の現状と課題
実際の研修現場で、フロントチームの方々と話をしていると、「個人プレーの積み重ねになりがちで、チームとしてタスクを共有する文化があまりない」という声を耳にします。
例えば、
「◯◯さんだけがいつも忙しそう」
「あの仕事、誰がやることになってるのかよくわからない」
といった状態が続くと、チーム内の空気もギクシャクしがちです。
わたし個人の見解ですが、こうした事例に一緒に取り組んできて思うのは、
個人の「気づき」と「責任感」だけに頼るのではなく、仕組みとしてタスクを見える化し、共有する文化を整えていく必要がある、ということです。
悩みを解決するためのタスク管理の重要性
タスク管理と聞くと、「きっちりスケジュールを立てて、それをこなすこと」と思われがちですが、必ずしも堅苦しいものではありません。
もちろん、チームや職場で決まった仕組みがあると統一されていて共有が楽というのもあると思いますが、
まずは、
「頭の中だけでやろうとしない」
「忘れてもいいように書いておく」
「どこに書いたか自分でわかるようにしておく」。
など、それだけでも十分な“仕組み”ではないでしょうか。
実は私も、ある時期まで「自分の記憶力」でなんとかしようとしていたタイプです。でも、それでは限界が来てしまい、「書いて整理する」「頼まれごとは“いったん引き取って、再確認する”」といった習慣に変えました。
これだけでも、ミスが減り、効率が良くなります。
プライベートでも、わたしは徹底的にメモを残すタイプです。
メモにして、終わったら捨てる。あるいは、必要に応じて、終わったメモは日付を入れてスクラップしておきます。
メモは、付箋に太めのマジックで書くことが多いです。
裏紙を使うこともあります。
これは、わたしにとってシンプルかつ身近な「見える化」です。
話を元に戻します。
仕事の場面では、「仕事を見える化することが、助け合いにつながる」とよく言われます。タスクが見えていれば、「それなら私やりますよ」と言えるし、「その仕事、今どこまでいってる?」と声をかけることもできます。
フロント業務は、“人と人をつなぐ”大事な役割です。その役割を果たすには、まず自分自身の仕事を“安心してまわせる”状態にしておくこと。
タスク管理は、自分を守るだけでなく、チーム全体を支える土台にもなるのだと思います。
