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「批判的思考」の履き違え

「この前提に立つと、ここがおかしいように思うんですが……」

録画の中の私は、嫌な感じ→https://0comb.com/2026/01/05/rikutsu/

ただ、批判してやろうという敵意があったわけでもありません。
「私だって、分かっていますよ」と自分の優秀さを示したかったのです(優秀ではないから、なのですが)。 私がやっていたのは、思考ではなく「有能さを示すためのパフォーマンス」に過ぎなかったのです。

今回は、私が陥っていた「偽物の批判」と、本来あるべき「本物の批判的思考」の違いについて、教育学や認知科学の定義から紐解き、自分の弱さを直視します(怖いけど)。

「粗探し」は思考ではない

多くの人は「批判(クリティカル)」という言葉を、「相手の間違いを指摘すること」や「否定すること」だと捉えがちです。 そうなると相手の論理展開(AだからBになる)を厳しくチェックし、「ここがつながっていない」と指摘することをしたりします。
まるで、自分の知的能力の証明をしているかの如く。

しかし、経営コンサルタントで有名な西村克己氏らが指摘するように、「論理的」であることと「理屈っぽい」ことには決定的な違いがあると思います。
「論理的」とは第三者が納得できる客観性があることですが、「理屈っぽい」とは「自己満足的に筋道が立っている」状態。

私がやっていたのは、相手のためでも議論のためでもなく、「自分が賢く見えるための材料」として、相手の論理の些細な穴を利用することでした。それは思考ではなく、単なる「マウント取り」になっていましたし、自己満足的なパフォーマンスに過ぎませんでした。

矢印を向けるべきは「自分」

本当のクリティカル・シンカー(批判的思考者)が、批判の矢印を向けるべき相手は誰でしょうか? それは「他者」ではなく、「自分自身」です。

学習指導要領の解説や哲学者の河野哲也氏の研究によれば、批判的思考とは「他者を論破すること」ではなく、「自明だと思っている前提そのものに『なぜ?』を問いかけること」であり、自分の思考のバイアス(偏り)を疑う建設的な態度であると定義されています,。

もしあの時、私が本物の批判的思考を持っていたなら、問うべきは自分自身に対して、ですし、
こう問う↓べきだったと思います。

• 「なぜ私は今、この質問をしようとしているのか? 学びたいからか、それともすごく見せたいからか?
• 「私は『自分はベテランだ』という前提に固執していないか?」
• 「優秀ではない自分を隠すために、専門用語で鎧を着込んでいないか?」

自分の「有能でありたい」という欲求(前提)を疑うこと。これこそが、私が放棄していた「批判的思考」の核心でした。これは大きな発見です!ここの前提を疑うことで、いろんなことが見えてきます。

論理は「化粧」ではない

ブログの第1回目で書いたように、録画の中の私は「鼻高々」で「知識をひけらかして」いました。 それは、中身(実力)のなさを、外側(論理的な形式)で必死に埋め合わせようとする姿でした。

論理的思考の要素には「主張・根拠・論拠」がありますが、私の発言には、その場への貢献という「目的」が欠けていました。 優秀ではない自分が、優秀に見られるために論理を悪用する。 これほど滑稽で、理屈っぽい振る舞いがあるでしょうか。

「疑う力」を、自分を救うために使う

「理屈っぽい私」を卒業するための鍵は、論理を捨てることではないのかもしれません。だから、「論理を手放す勇気」と修正することにします。

これまで外(相手)に向けて発射していた「なぜ?(批判的思考)」という鋭い矢印を、ぐるりと自分自身の内側に向けることです。(痛そう!でも、これまで相手がいたかったんだな、と気づきました)
「私は知っている」という考えを疑うこと。 「今の態度は、自分の弱さを隠すためではないか?」と自問すること。その痛みを受け入れる勇気を持てた時、論理は「自分を大きく見せる道具」から、本当の意味で自分と他者を助ける「知恵」に変わるのかもしれない、そう思えます。

次回は、この「自分への問いかけ」を阻む最大の敵、「過去の成功体験」についについて考えます。なぜ私たちは、経験を積めば積むほど、素直になれなくなってしまうのでしょうか。

この記事を書いた人

marco

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