自分にも部下にもプラスをもたらす方法
職場で「フィードバック」という言葉を聞くと、どんなイメージを持つでしょうか?
私もこれまでフィードバックについてかなり実践研究を積んできましたが、実は一時期、「傷つけられるもの」「攻撃されるもの」「自分の欠点をえぐられるもの」と捉えていたことがあります。いや、本当にそう思っていた時期がありました😰。
そこまでではなくても、「叱る場面」を思い浮かべる方や、「何をどう伝えればいいのか分からない」と感じる方もいるかもしれません。ある管理者は「フィードバックなんて嫌だ!するのも、されるのも」と話してくれました。もしかすると、私と似たような経験をされたことがあるかもしれませんね。
とはいえ。
実は私、フィードバックの「良い面」に出会う経験を重ねたことで、考え方が徐々に変化しました。少し視点を変えるだけで、フィードバックは「相手のためになるもの」だけでなく、「自分にもプラスをもたらすもの」だと気づいたのです。
部下を持つ立場の方にとって、フィードバックは日常的に使うスキルの一つです。今日はその視点について、具体例を交えながらお話ししていきます。
フィードバックが「チームの力」を引き出した瞬間
あるプロジェクトチームのリーダーをしていたときの話です。メンバーのCさんが提案書を作成してくれたのですが、重要なポイントが抜けていて、全体的に少しぼんやりとした内容でした。「なんでこんなミスを?」と一瞬思いましたが(←思ったんかいっ!😰)、一呼吸おいて冷静にフィードバックの言葉を選びました。
そのときに伝えたのは、次のような内容です。
「この提案書、構成がとても分かりやすいね。ただ、クライアントの意図が伝わりづらいかもしれない部分があったよ。相手が求めている項目を具体的に記載してみるといいと思う。」
するとCさんは、「ありがとうございます!」と言ってくれました。
次に見せていただいたCさんの提案書は具体性が格段に増し、理事会でのプレゼンも見事成功。即承認されました。このとき、「フィードバックはメンバーだけでなく、チーム全体の成長にもつながる」ということを実感しました。
フィードバックの基本:相手にあった言葉を使い、事実を伝える
では、どうすればフィードバックが「プラスの影響」を生むのでしょうか?
ポイントは次の3つです。
1. 相手にあった言葉で、事実を伝える
フィードバックを行う際は、主観的な感想や感情に基づいた言葉ではなく、「具体的な事実」に基づくことが大切です。
たとえば、「最近、やる気がないね」ではなく、「昨日の会議で、資料説明が少し簡略化されている部分があったね」というように具体的に伝えると、相手も受け取りやすくなります。
ここで重要なのは、「主観を伝えてはダメ」ということではなく、「伝える内容が何に基づいているか」を明確にすることです。
2. 相手にあわせた表現を選ぶ
人にはタイプがあります。「はっきり言ってもらうと助かる」という人もいれば、「はっきり言われると傷つく」という人もいます。さらに、短く簡潔な説明を好む人と、詳細な説明を望む人もいます。相手のタイプに合わせた言葉選びやストーリーテリングを心がけることが、効果的なフィードバックにつながります。
3. 改善案を一緒に考える
指摘するだけではなく、「次にどうすれば良くなるか」を一緒に考えることも大切です。具体的な行動を提案するのも良いですし、「どうしたらいいと思う?」と問いかけて相手に考えさせるのも一つの方法です。フィードバックの目的を未来志向にすることで、自然と前向きな対話が生まれます。
自分にもプラスの影響をもたらすフィードバック
フィードバックの面白いところは、「伝える側にも学びがある」という点です。部下にフィードバックをすることで、自分の視点や考え方が整理されるだけでなく、「あの伝え方で良かっただろうか」と振り返ることで、自分自身のリーダーシップを見直すきっかけにもなります。
実際、私がフィードバックを丁寧に行うようになってから、相手の成長だけでなく、自分自身の成長も強く感じるようになりました。「伝える」とは、「一緒に学ぶ」ことでもあるのですね。
実践するための小さな一歩
フィードバックが苦手だと感じる方でも、まずは以下のような小さな一歩から始めてみるのがおすすめです。
- 観察を習慣にする
毎日、部下の良いところを一つ見つけてメモしてみてください。それを基に、「良かった点」を伝える練習をするのはどうでしょう。 - 感謝の言葉を伝える
「ありがとう」「助かったよ」といったポジティブなフィードバックを日常的に使うことで、心理的なハードルを下げられます。 - 具体的な行動を提案する
改善点を指摘する際には、改善策もセットで伝えるようにしてみてください。相手もポジティブに受け止めやすくなります。
フィードバックは「相互成長のための対話」
フィードバックは、伝え方次第で「傷つけるもの」にも「成長のきっかけ」にもなります。それを活用して部下の力を引き出すことは、リーダーとしての重要な役割です。そして何より、フィードバックを通じて「自分自身が成長する喜び」も味わえるということを、ぜひ体験してみてください。
「どう伝えると相手に届くだろう?」と考える。その小さな意識の転換が、すごいフィードバックの一歩です!
ともに、試行錯誤してチャレンジしていきましょう。