
情報にはいろいろな種類がある
ビジネスの現場で「情報共有の大切さ」はよく語られますが、そもそも「情報」と一口に言っても、その中身は実にさまざまです。例えば、業務に関する数値データやスケジュールといったものから、社員一人ひとりの個人的な経験、あるいは気持ちの動きまでが含まれます。中には「もう会社の資料に載ってるから言わなくてもいいだろう」と思ってしまうような“公開済み”の情報もあるかもしれません。
ですが、形式的には共有されていても、実際にその情報がどう活用されているか、誰の目に触れているのかまでは見えにくいものです。「知ってるはず」と思っていた情報が、実は誰にも届いていなかったということも意外とよくあります。
「隠したい情報」とは

さて、ではなぜ人は情報を“積極的に”開示しようとしないのでしょうか。
個人的な話で恐縮ですが、私は以前、部下に「実は○○の手順がまだよくわかっていなくて…」と相談されたとき、正直ホッとしたことがあります。「ああ、これでちゃんと教えられる」と思ったんですね。
その一方で、自分がわからないことを認めるのは、やはり勇気がいることだとも感じました。「できないと思われたらどうしよう」「評価が下がるかもしれない」という気持ちは、多くの人に共通するものではないでしょうか。
このような「隠したい情報」とは、たいていが“自分の弱さ”や“不完全さ”にまつわるものです。とくに責任ある立場になるほど、そうした情報は「隠すべきもの」に見えてしまうのかもしれません。
その心は!?

「恥ずかしい」「迷惑をかけるかもしれない」「言ったら責任を取らされる」——こうした感情の積み重ねが、情報開示をためらわせます。ある意味、人間らしい自然な反応とも言えますが、ビジネスの場ではそれが思わぬ誤解やトラブルを生むこともあります。
あるプロジェクトで、「今さら聞けない」と思っていた情報を他のメンバーも同じように抱えていた、ということがありました。誰もが「自分だけが知らない」と思って黙っていたんですね。結局、プロジェクトは一時的に混乱し、その後は「ちょっとでも不安があったら言いましょう」というルールを作ることになりました。
情報を開示できる相手

情報を出せるかどうかは、「この人ならわかってくれる」と思える相手がいるかどうかに大きく左右されます。つまり、「心理的安全性」のある関係が築けているかどうか、ということです。
管理者や人事の方々にとっては、ここが非常に大切なポイントです。どんなに制度が整っていても、日常のやりとりの中で「この人には言っても大丈夫」という信頼がなければ、情報はなかなか表に出てきません。
「ちょっとした困りごとでも話せる」「わからないことを『わからない』と言える」——そんな関係を築くには、まず自分自身が“情報を開示する側”に回ってみることも効果的です。失敗談を笑い話に変えるような姿勢が、相手の心を開くきっかけになるかもしれません。

「情報を出すのが怖い」という感情は、多くの人が持っている自然な反応です。でも、だからこそ、小さな勇気や温かい関係性が、職場の風通しを大きく変えてくれる可能性を秘めています。
このコラムが、少しでも「そうそう、あるある」と感じていただけたなら嬉しいです。そしてもし、職場の雰囲気を変えるヒントを探している方がいらっしゃったら、まずは自分の小さな経験から話してみる、という選択肢もあるかもしれません。
明日もコラム、書きます!
平澤知穂
個人的な情報公開(笑)龍馬さんになってみました!

