
“自己チェック”は、リーダーの毎日の仕事のひとつ
「なんであの人、また同じミスするのかな」「最近、チームの雰囲気がイマイチだなあ」──そんなふうに感じたとき、つい「部下の問題」として片付けたくなりませんか。私自身も、かつてそう感じたことが何度もあります。
でも、あるときふと思ったんです。「もしかして、わたしが何か空気を作ってしまっているのかも?」と。
リーダーにとって、毎日やるべき大事な仕事のひとつは、
「自分の状態を点検すること」ではないでしょうか。
自分がどんな表情をしているか、どんな言葉を使っているか、どんな空気をまとっているか。
これらはすべて、チームにじんわりと影響を与えているものです。
まるでエアコンの設定温度のように、目には見えないけれど、
確実に空間の快適さを左右している。それが、リーダーの“雰囲気”なのだと私は感じています。
リーダーの不機嫌は、部下にとって「雷予報」になる

わたしの実体験です。
「自分では普通にしてるつもりなんですが、チームのメンバーが必要以上に緊張してしまうんです」と言われてしまいました。
わたしはには「もう耐えられません!」的な感じで、ズバリと言われた経験が複数回あります。
(反省・・すみません。)
その方は決して怒鳴ったりはしていません。
でも、わたしの少しの沈黙や、わずかな表情の曇りが、「機嫌が悪いサイン」として伝わっていたのです。
体調が悪い、というのがいうのがわたしに起こっていたことなのですが、
相手にとっては「言い訳」でしかありません。
相手の方のストレスは以下ばかりだっただろうと思うと、申し訳なさが募ります。
さて、部下にとって、上司の機嫌はまるで天気予報のようなものだな、と思います。
曇っていれば、今日は話しかけるのはやめておこう。
雷が鳴っていそうなら、余計なことは言わないようにしよう。
そんな“天候判断”を、誰にも言われずとも自然としているように思えます。自分の経験からも。
だからこそ、「無言の不機嫌」がチームの沈黙を生むこともあるのです。
新人が話しかけてこない理由は・・・

ある会社の新人研修で、若手社員からこんな声を聞いたことがあります。
「上司の目がいつもパソコン画面に向いているので、話しかけていいのか迷ってしまいます」。
リーダーとしては「忙しい中でも頑張っている」だけなのですが、
新人にはそれが「怖くて近寄りにくい」姿に見えてしまっている。
これも、リーダーが“自分をどう見せているか”に無自覚だったことで起きていた行き違いのひとつではないかと思います。
上司が見つめているのは画面の向こうの数字。
と同時に、部下が見ているのは、上司の姿。
そう思うと、ほんの少し目を合わせる、うなずく、笑顔を見せる・・・
その一つひとつが、部下にとって「話しかけてもいい場所」へのサインになるのだと感じます。
「自分を観察する習慣」が、信頼される上司をつくっていく

私自身も、研修や講演の前に「今日の自分の状態、大丈夫かな?」とチェックするようにしています。声のトーン、姿勢、表情、使う言葉のテンポ……リードする立場の人にとって、それは「準備」の一部でもあると思うのです。
信頼される上司は、自分の影響力に気づき、丁寧に使おうとする人のこと。
チームに元気がないなと感じたら、まずは鏡(自分)をのぞいてみる。
そこには、部下に伝わっている“もう一人の自分”が映っているかもしれません。
「自分の機嫌は自分でとる」。
そんな小さな習慣の積み重ねが、チームに安心をもたらし、
信頼を育んでいくのだと私は考えています。
