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PDCAサイクルの回し方(2)『すごい計画』が『すごい足かせ』になるとき

行動につながらない計画は、“回らないPDCA”を生み出す

「まずはしっかり計画を立てましょう」
研修やマネジメントの場面で、こんな言葉を聞いたことはありませんか?

もちろん、無計画よりは計画的に動いた方が、仕事はうまくいきやすいものです。
でも実際の現場では、「すごく立派な計画を立てたのに、何も始まらないまま終わってしまった」という経験も、少なくないのではと思います。

私も以前、あるプロジェクトで「職場の風通しを良くする」というテーマに取り組んだことがありました。その時に出てきた最初の計画は、「心理的安全性の高いチーム文化をつくる」という立派な目標でした。ただ・・・「それで?明日なにをすればいいんだろう?」と、手が止まってしまったのです。

どんなに理想的でも、「行動につながらない計画」は、PDCAの“P”の段階で立ち止まってしまう原因になります。つまり、Plan(計画)がきちんと描けていないと、次のDo(実行)に進めない。そしてCheck(検証)やAct(改善)までたどり着く前に、サイクルが止まってしまうのです。

“迷い”を引き起こす抽象的な目標やプラン

「なぜ、行動につながらない計画が生まれてしまうのでしょうか?」と考えてみると
一つに、「抽象的すぎる」ことが思い浮かびます。
「目標はあるのに行動に進めない」現象は、プランが大きすぎるサイン、と捉えても良いでしょう。

「主体性のある職場にする」
「多様性を活かすチームにする」
「信頼関係を築く」
これらはいずれもすばらしい目標です。
でも、あまりにスケールが大きすぎたり、言葉がふわっとしていたりすると、「それって、つまり何をするの?」という迷いを生みやすくなります。

人は、曖昧なものに直面すると行動をためらうものです。
「間違えたらどうしよう」「これで合ってるのかな」と不安が出てきてしまいます。
つまり、抽象的な目標は、意志を高めるどころか、かえって“動けない理由”になってしまうことがあるのです。

特に、管理職の方やリーダーの立場では、熱意があるぶん「大きなことを成し遂げたい」という想いが先行して、プランが立派すぎるほど立派になってしまうことがあります。
問題は「壮大な目標」ではなく、「チームが“最初の一歩”を踏み出しにくくなってしまう」ことです。

大きな目標を小さく刻む

あるチームでは、「組織の風通しを良くする」という目標が掲げられていました。
しかし、半年が経っても具体的な取り組みは始まらず、「何から始めていいか分からない」という声が現場から聞こえてきました。

そこで会議が開かれました。
「じゃあ、“風通しを良くする”って、どんな行動がある?」と洗い出してみることにしました。
出てきた案のひとつが、「毎週1回、業務に関係ない雑談の時間を5分だけ設ける」というものでした。

結果的に、この小さな試みがメンバー同士の距離を縮め、そこから「ありがとうを伝え合う」「困ったことを早めに相談する」といった、他の行動にもつながっていきました。

このように、「大きな目標をいきなり達成しよう」とするのではなく、「まずは何ができる?」と目標を分解してみると、行動の道筋が見えてくることがあります。

小さな一歩を組み込んだPが、回るPDCAをつくる

PDCAは「計画→実行→振り返り→改善」のサイクルですが、その“出発点”であるP(計画)が大きすぎたり抽象的すぎると、そこから先へ進めなくなります。
個人的には「小さな一歩を組み込んだP」がとても大切だと感じています。

たとえば、
「目標はこれ。じゃあ、そのために“今月やること”は?」
 ↓
「そのために“今週やること”は?」
 ↓「そのために“明日やること”は?」
といったふうに、計画を細かく刻んでいくと、動きやすくなります。

こうして一歩動けば、次に何が見えてくるのかが分かってきます。
そこからCheck(振り返り)が生まれ、
次のAct(改善)へと進む。
結果として、PDCAが「机上の理論」ではなく、「回り始めるしくみ」になるのです。

もし今、立てた目標がなかなか進まないと感じているなら、
それは意志の問題ではなく、“計画の粒度”の問題かもしれません。
「すごい計画」を、「動ける計画」に。
そんな視点を、持ってみるのも一つのひんとではないかと思うのです。

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marco

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