
見えていない?メンバーの「困りごと」が職場を停滞させている
仕事の合間に受けた相談でした。
「うちの上司、いつも『何かあったら言って』って言うけど、言えないんです」
詳しく聞いてみると、「正直あまり言いたくないんですよね…」とのこと。
これは決して珍しい声ではなく、
職場の停滞感やギクシャクした雰囲気は、こうした“言えない困りごと”の積み重ねが原因であることが多いことがわかってきました。(研修を担当してきてわかってきた、という意味です)
職場の雰囲気がどことなく重く感じられたり、
業務の進みが鈍くなったりしているとき、
それは誰かの小さな困りごとが見過ごされているサインかもしれません。
リーダーとしての「気づく力」が、まさに今、求められているのではないでしょうか。
“言わない”のではなく“言えない”から、リーダーが察する力が必要です
よく、「困っているなら言ってくれればいいのに」とおっしゃるリーダーがいます。
しかし、部下側から見ると、
「言ったら迷惑かも」「評価に響くのでは」「こんなこと相談してもいいのかな」
と不安に感じることも多く、
結果として“言わない”のではなく、“言えない”状況に陥ってしまっているケースもあります。
ある研修では、
メンバーから「上司には相談しづらい」という話が出ました。
理由をたずねると、「忙しそうにしている」「ちょっとした雑談がないから声をかけづらい」「以前、軽く流された経験がある」といった声が返ってきました。
これを聞いて、改めて“態度や空気感”の大切さを実感しました。
研修で見えた!「リーダーには言いにくい」困りごとトップ3
では、実際にメンバーがどんなことに困っているのでしょうか。
私の研修実施経験から(統計をとっているわけではないのですが)複数の企業研修で見聞きした「言いにくい困りごと」を、【仕事の悩み】と【職場の悩み】に分けてご紹介します。
①【仕事の悩み】トップ3
- 情報共有が遅い・されない
タスクを進めるうえで必要な情報が、なかなか降りてこない。
「知らされていなかった」と後から知るのは、精神的にも大きなストレスになります。 - 手順が曖昧で不安
「どう進めれば正解なのか」がわからないまま業務を任され、
不安な気持ちを抱えたまま動いている方が多く見られました。 - 努力が評価されない
一生懸命やっているのに、それが上司に届いていないと感じているケースも。
フィードバックの不足が大きな要因です。
②【職場の悩み】トップ3
- 静かな孤立
仲間と雑談を交わすことがほとんどなく、誰とも関わらずに一日が終わってしまう。
孤立感が強まり、モチベーションが下がる一因に。 - 雑談ゼロの空気
業務以外の会話がほぼない職場では、ちょっとした相談すらしにくくなります。
「こんなことを話していいのか」という不安が壁になってしまいます。 - 頼りにくい上司
「なんでも相談してね」と言われても、実際には忙しそうで声をかけにくい。
または、過去に相談して軽くあしらわれた経験があると、話したくないと感じる人が多いようです。
これらは一例にすぎませんが、どれも“ちょっとしたこと”に見えて、メンバーにとっては大きなストレスになる場合があります。
日常の変化を見逃さない
結局のところ、リーダーに求められるのは“観察力”ではないでしょうか。
「いつもより発言が少ないな」「ちょっと表情が曇ってるかも」
といった、日常の小さな変化に気づけるかどうか。
それが、困りごとの芽を見つけ、芽のうちに対処できる鍵になると思います。
大事なことは、部下の様子に目を向けてみるってことではないかな、と思います。
ちょっとした一言がけをしてみたり、メンバーの声のトーンに敏感になることでも、
大きな違いが生まれます。
私自身も、観察することの大切さを実感しています。
「あのとき声をかけてよかったな」と思える瞬間が、必ずやってきます。
職場の雰囲気は、リーダーの気づきから、静かに、でも確実に変わっていく、と
わたしは思っています。
