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なぜ優秀なリーダーほど“抱え込み”がちなのか

「その仕事、俺がやった方が早いな…」と思ったこと、ありませんか?

部下に説明する時間や、修正をするリスクを考えると、自分でやるほうが確実だし早い。結果も読みやすい。でも、気がつけば毎晩残業、疲労感は増すばかり。部下は部下で「どうせ最後は上司がやるんでしょ」と距離を置き始める。

はい…そうなのです、「仕事ができるリーダー」ほど“抱え込み”の罠。

責任感の強さも、あると思います。リーダーはチームの成果に責任を持つ立場。だからこそ「完璧に仕上げたい」「失敗させたくない」という思いが強くなり、つい自分でやったほうが安心だ、と感じてしまうケースが多いのではないでしょうか。

さらに、自分が一番その仕事に慣れている場合は、教えるより手を動かした方が効率が良い気がする…。

ところが、ここに大きな落とし穴が潜んでいます。

任せないリーダーが失っているもの

わたしが見てきたケースでは、抱え込み続けるリーダーは、多くのものを失っているようです。

まず、自分の時間。
教える時間を惜しんだ結果、将来もずっと自分がやる羽目になる・・・。
短期的には効率的に見えても、長期的には負担が増える一方、という状況。

そして、もっと大きな”失うもの”は、部下の成長の機会と能動性だと思いました。
仕事を任せない限り、部下は「挑戦する場」を与えられません。
挑戦がなければ失敗も学びもなく、成長が止まってしまう。
こうした状況では、当人の積極性は失われがちです。

リーダーも、いつまで経っても「自分しかできない仕事」が減らず、さらに任せられなくなる…という悪循環が起こります。

以前、ある管理職の方が話して下さったエピソードをご紹介します。
「自分が頑張れば何とかなると思っていた。でも、チーム全体を見ると、自分が抱え込むことで部下の自信もモチベーションも下がっていたんです」。任せないことは、実は部下にとってもチームにとっても“優しさ”ではなく“機会や可能性の奪い取り”になってしまうのだと感じました。

“やる”から“育てる”にシフトする思考法

では、どうしたらこの“抱え込みの罠”から抜け出せるのか?
ヒントは、「成果を出すこと」と「育てること」を切り離さない考え方だと思います。

たとえば、最初から100点を狙わず、60点でいいからまずは部下にやらせる。そして、必要なところだけフォローしながら徐々にレベルを上げていく。完璧にやるのは自分ではなく、チーム全体で完成度を高めるプロセスをつくるのです。

「任せる」と「放置する」は違います。
任せるとは、期待を伝え、適度にサポートしながら、相手が主体的に動ける余白を与えること。私はこれを“仕事を投げる”と言わず“渡す”と言い換えています。
リーダーが「任せる」を選択することで、部下は成長の機会を得て、引いてはリーダー自身の負担が減り、チームの力が底上げされていく。

本当の「部下のためになる」とは

リーダーがつい抱え込みたくなるのは、責任感と愛情があるからだとも思います。
ただ、「短期的な安心感」にとらわれると、部下の成長の芽を摘んでしまうことにもなります。

部下のためにと考えるなら、より多くの経験をしてもらうこと。本当の意味での支援ではないでしょうか。

時には、任せた結果が自分の想定よりも遅かったり、質が低かったりしてイライラすることもあるでしょう。そのプロセスの中には、リーダーシップの経験からの学びがあると思います。そして、部下も次第に成長していく。ある時、「あのとき任せてよかった」と思える時がくる。

“俺がやった方が早い”から、“君がやるから強くなる”へ。
思考のスイッチを少し変えて、行動を選択する。

それが、最終的にリーダー自身の過剰な負荷を分散させ、組織を強くすることにつながる(以外にも、一番の近道)と感じています。

この記事を書いた人

marco

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