
きっかけは「長すぎません?」のひと言
ある企業で、毎週行われる定例会議がありました。議題は山積み、時間は2時間半。
終わるころには参加者もクタクタ…それでも「やりきった感」はあまりないという状態でした。
ある日、若手メンバーが休憩中にポツリ。
「この会議、長すぎません?後半は正直、頭に入ってこなくて…」
その場は笑って流したものの、「確かにそうかもしれない」とメンバーも管理者も気づきます。
現場観察で見えた“長さの理由”
早速、会議の様子を観察してみると…
・議題の順番がバラバラ
・情報共有に時間がかかる(よく黙る)
・発言が脱線して長くなる(誰かからの質問に、適切で的確な回答ができない)
これらが積み重なり、会議がうまくいきませんでした。
そこで、会議の改善の目的に現場にわたしが向かったのですが、会議の改善に取り組む試み1回目で、メンバーの目的は(なんと!)「良い会議を進めること」に変わってしまったのです。
その日は、わたしにとっては現状把握のために参加をさせていただいた日でもあったので、様子を拝見しました。メンバーは、良い会議をしよう!と思っていつもよりも多めに話したりしたようですが、会議の長さは相変わらずで決定もされず、後半は集中力も下がっていることがわかりました。
そして、その日の会議の終了時に、きらりヒカル一言(?)がメンバーから放たれました。
「この会議、長すぎません?後半は正直、頭に入ってこなくて…」
それを聞いて、これを逃す手はない!と思いました。
今が変化のチャンスだ!と思ったのです。
小さく試す改善策
すぐに「レビューをさせていただきます」と前置きをして、
「まずは議題の順番を整理するところから試しましょう」とお話ししました。
その後、取り組んだのは概ね以下の要項です。
・「共有事項」と「決定事項」を分ける
・重要な決定事項は会議の前半に配置
・情報共有は事前資料で配布し、口頭説明は最低限に
この小さな変更を、まずは翌回の1回だけテストしてみることになりました。
想定外の効果
2回目の参加
会議が始まってみると、進行がスムーズになりました。
前半で重要な決定が終わり、後半は軽めの情報共有。
結果、会議時間は2時間半→1時間15分に短縮。
しかも「終わったあと、頭がまだ元気です!」というメンバーの声をいただきました。
やってみて初めてわかったのは、「会議が長い」のではなく「会議の組み立てが散らかっていた」という事実。元々、ご依頼いただいていた「会議が長いんです」というのは、結果だったのですね。
ふりかえりと次の一歩
テストの結果を踏まえ、参加者全員でふりかえりを実施。
「もっとこうしたら良くなる」という意見が出て、会議資料のテンプレート化や進行役の交代制など、次の改善につながっていきました。
動くと現場が教えてくれる
この事例は、まさに「今この瞬間から始める業務改善」と「論より証拠」を合わせたようなエピソードです。
現場を観察し、分析して、小さく試し、振り返る。それだけで、会議時間を半分にしながら生産性を上げることができました。
完璧な計画よりも、ひとつの行動。
あなたの職場でも、まずは小さく試してみませんか?
意外な“お宝”が見つかるかもしれません。
