
■「ファシリテーションって、司会のこと?」と思ったあなたへ
「ファシリテーションって司会のことですよね?」
この質問、実はよく聞かれます。確かに会議の進行もファシリテーターの役割ですが、それは“表面的な機能”にすぎません。本当の役割は、場を動かす“内側の力”を生み出すことにあります。
ただ時間通りに進行するだけなら、タイムキーパーでも可能です。
しかし、ファシリテーターは違います。場のエネルギーを引き出し、参加者一人ひとりの考えをつなぎながら、議論を前進させていく存在です。
今回は、そんなファシリテーションの本質と、そこに秘められた価値についてお伝えします。
■ ファシリテーションがもたらす3つの価値
1. 多様な意見を結びつける
チームやグループには、必ず異なる視点・立場があります。
時にはそれが摩擦を生むことも。でも、それ自体が悪いわけではありません。大切なのは、その多様性を“対立”ではなく“対話”に変える力。
ファシリテーターはその橋渡し役として、対話の場を設計し、共通点や可能性を見出すことで、新たな発想や合意を生み出します。
2. 参加者の主体性を引き出す
会議やワークショップが“誰かの話を聞く場”になってしまうと、参加者の心は離れてしまいます。
ファシリテーションでは、参加者が「自分もこの場の一部だ」と感じられるような工夫が重要です。
問いかけやリアクション、グループワークの設計などを通じて、“受け身”ではなく“主体的”な関与を促していきます。
3. 限られた時間を最大限に活かす
現代のビジネスパーソンにとって、「時間」は最も貴重な資源です。
ファシリテーターは、その時間を無駄にせず、目的に沿って流れを整えるナビゲーターのような存在でもあります。
議論が散漫になれば収束させ、意見が停滞すれば新しい視点を投げかける。柔軟に、でも確実に、合意形成へと導いていくのです。
■ 話すだけの場から、動き出す場へ
ファシリテーションは、話すための「場」を、次のアクションへつなげる「推進力」に変える技術です。
ただの進行役ではなく、参加者の中に眠る力を引き出し、つなげ、動かしていく存在。それがファシリテーターの真価です。
まずはその本質を知ることから。そうすることで、議論時の空気も、成果も、変化が起こってくるでしょう。
