心のSOSに気づくためにセルフチェックと専門家の力を上手に使う
第3回では、職場のメンタルヘルス対策についてお伝えしました。
第4回となる今回は、視点を再び「自分自身」に戻して、心の状態を知る方法や、専門家に相談することの意味をお話ししていきます。
忙しい毎日の中で、私たちは意外と「自分の心の声」を後回しにしてしまいます。身体の不調には敏感なのに、心の不調には鈍感になりがちなものです。
だからこそ、定期的に自分をチェックできる仕組みを持っておくことが大切になります。
セルフチェックは「心の鏡」
心の状態を知るために役立つのが、セルフチェックです。
インターネットでも、厚生労働省でも、さまざまなメンタルヘルスのチェックツールが公開されています。
チェックシートの良いところは、
自分の現状を“言葉”や“数値”として客観的に把握できる点です。
例えば、
・最近よく眠れているか
・食欲に変化がないか
・人に会うのが億劫になっていないか
・好きだったことへの興味が薄れていないか
こうした質問に答えるだけで、今の自分の傾向が見えてきます。
セルフチェックは、調子が悪いときだけ使うものではありません。
月に一度、あるいは季節の節目に「心の定期点検」として使うと、より変化に気づきやすくなります。
「先月より疲れているな」「最近は少し安定してきたな」など、振り返る材料にもなるのです。
見逃しやすい「心の小さなサイン」
心の不調は、最初から大きな症状として現れることは少なく、むしろ小さな変化から始まります。しかし、この“小さなサイン”が曲者です。気づかないふりをしてしまいやすいのです。
例えば、
・眠れない、または眠りすぎる
・食欲がない、または食べすぎてしまう
・以前より涙もろくなった
・いつもの仕事が妙にしんどい
・朝起きると気分が重い
・趣味を楽しめない
・人と話すのが煩わしい
・休日も気分が晴れない
これらのサインは「気のせい」「疲れているだけ」で済ませてしまうことが多いのですが、実は心が出してくれている大切なメッセージです。
身体が熱を出して「休んで」と訴えるように、心もまた「ちょっと限界かもしれないよ」と合図を送ってきています。
その合図に耳を傾けられるかどうかが、回復の大きな分かれ道になります。
自分に合ったセルフケアを持っておく
心のサインに気づいたとき、まず試してほしいのはセルフケアです。
しかし、セルフケアに“万能薬”はありません。
大切なのは、自分に合ったやり方を見つけることです。
例として、
・日記を書いて気持ちを整理する
・自然の中を歩いてみる
・何も考えずにゆっくりお風呂に入る
・友人と他愛ない話をする
・静かな場所で一人の時間を過ごす
どれも立派なセルフケアです。
性格や生活スタイルによって効果は異なりますので、いくつか試してみて「心が少し軽くなるもの」を探してみてください。そして、効果を感じられるものが見つかったら、ぜひ“心の処方箋”として覚えておいてください。不調を感じたときにすぐ使える、自分だけの安心ツールになります。
「相談してもいいんだ」と思えること
セルフケアをしても良くならないと感じたら、迷わず相談することを検討してみてください。
相談するという行為は、「助けを求める弱さ」ではなく、「自分を守る強さ」です。
相談することで得られるものは、単なるアドバイスだけではありません。
誰かに話を聞いてもらうだけで、心が軽くなることがあります。
「一人で抱えていたことを、やっと下ろせた」と感じることもあります。
相談できる場所はさまざまです。
・企業の相談窓口
・地域の保健センター
・電話相談サービス
・医療機関やカウンセリングルーム などなど。
どんな窓口でも、“困ったときの居場所”として活用できます。
「こんなことで相談していいのかな」と思う必要はありません。
困ったときに助けを求めることは、立派なセルフケアです。
専門家は「心のガイド役」
メンタルヘルスの専門家には、心理カウンセラー、臨床心理士、精神科医、心療内科医などがいます。それぞれ役割やアプローチは違いますが、共通しているのは、心の健康を支えるプロであることです。
専門家に相談すると、
・自分では気づかなかった心のパターンが見えてくる
・整理できなかった気持ちを言語化できる
・適切な治療やケア方法がわかる
といったメリットがあります。
精神科や心療内科と聞くと、「そこまでじゃない」と感じてしまうかもしれません。
でも、心の不調は早めに相談した方が圧倒的に楽に回復できます。
身体が風邪を引いたときに内科に行くように、
心が疲れたら専門家に頼る。
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しつこくてすいません…毎回言っているような^^;
これは特別なことではなく、自分を大切にする自然な行動!
あなたを支えてくれる人は、周りにもいる
専門家だけでなく、家族や友人といった身近な人もまた、心の回復を支える大切な存在です。
話を聞いてもらうだけで楽になることは、誰しも経験があるはずです。
もちろん、話したくない時は無理に話す必要はありません。
大切なのは、「必要な時に頼っていい関係」があることです。
その関係は、あなたの心の安全ネットになります。
そして、あなた自身もまた、誰かの心の支えになる存在です。
身近にいる方が辛そうにしていたら、「大丈夫?」と声をかけるだけでも救われる人がいます。
第4回では、セルフチェックや相談のポイント、専門家の活用について紹介しました。
次回は、いよいよ最終回。
セルフケアを習慣にするためのコツや、心の健康が人生にもたらす効果についてまとめていきます。
あなたの心が、今日もやさしく守られていますように。








