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リーダーが迷いや葛藤を抱えたときの方向性の示し方

仕事において、「この方向で間違っていないだろうか?」と迷う瞬間は、リーダーなら誰しも経験があるのではないでしょうか。決断に自信が持てないときや、メンバーから異なる意見が出たとき、リーダーとしてどのように向き合えば良いのか。
その迷いや葛藤は、実はリーダーシップを磨く大切な機会でもあると思っています。

「正解がわからない」という不安

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以前、私がある企業で管理職研修を担当したときのことです。

一人の参加者がこう話してくれました。
「部下が増えるほど、全員に納得してもらえる決断をするのが難しいんです。自分ではこれが最善と思っても、反対意見が出ると揺らいでしまう」。

彼の悩みはとても共感できるものでした。
リーダーはしばしば正解のない選択肢の中で道を示す役割を求められます。
それが時に、強いプレッシャーを伴うものになると思います。

「すべてを自分で決める必要はない」

この話を聞いたとき、私は彼にこう尋ねてみました。
「部下たちは、どんな気持ちであなたの決断を待っていると思いますか?」。
すると彼は、「全員の意見を尊重しつつ、最終的な答えを示してほしいんだと思います」
と答えました。

その通りだと思います(わたしも部下の時や後輩という立場の時、大概そう思っているから)
しかし、実際にはリーダーがすべてを一人で決める必要はない(=全てを一人て決めなくても決めることができる)ことも、一方で感じています。

「役割」の観点からリーダー活動指針の観点を持ち出して考えてみると、
むしろ、メンバーの意見を引き出し、それを組み合わせながら方向性を探ることがリーダーだということがわかります。
実際に私は、チームを動かすリーダーに必要な力の一つとして「迷いを共有する力」があると感じています。「この決断には迷いがあるけれど、こう進むのが良いと思う」というプロセスを言葉にすることで、メンバーにチームへの参画感情が生まれてくると考えているのです。

「迷いを共有する」具体的な方法

「迷いを共有する」は、単に「どうしようか?」と曖昧に聞くことを指しているのではなく、たとえば、次のような言葉で話し始めてみて得られる結果のことです。

「ここが悩みどころだと感じています。でも、A案が有力だと考えています。皆さんの意見を聞かせてください」

「この方針で進むつもりですが、不安に思う部分もあります。補強できるポイントを一緒に考えましょう」

このように迷いを認めながら方向性を示すことで、メンバーは「自分たちも決定に貢献できている」と感じ興味や関心が深まり、自分ごととして捉え始めるでしょう。
これは、ただ指示を受けるのではなく、一緒に進んでいるという感覚を生む重要なポイントだと感じています。

迷いがもたらすリーダーシップの進化

「リーダーは完璧でなければならない」という思い込みは、私自身の経験から見ても、リーダーという役割を持つ人を追い詰め、結果的にメンバーとの距離を生むことがあると感じます。

そもそも、迷いや葛藤を持つこと自体は良いとか悪いという対象ではありません。それは、リーダーにとって自然な感情であり、むしろそれをどう伝え、メンバーと共有し、活用していくかがリーダーシップのプロセスだと思います。

かつて研修講師として活動する中で、私も「この内容が参加者の役に立つだろうか?」と悩んだことがありました。その時、準備してきたことや参加者の力を信じてそのまま進めるか、リスクを考慮して内容を変更するかという二者択一に迷いました。しかし、最終的には、参加者との対話を通じて会場の声を取り入れ、「これが彼らの今に合っている」と確信できる材料を集めるという第三の選択肢を見つけました。

迷うからこそ深く考え、時にはその考える過程を共有することで、チーム全体が納得感を持って進むことができます。リーダーシップの本質は、このような迷いを力に変えるプロセスにこそあるのではないでしょうか。

小さな一歩を踏み出してみる

迷いや葛藤を抱えたとき、リーダーとしてできることの一つは「言葉にしてみる」ことです。自分の中でぐるぐると考え続けるのではなく、一度メンバーに共有してみる。そのプロセスがチームの信頼を深め、リーダー自身の決断力を強化するきっかけになります。

次に迷いを感じたとき、試しに「今、自分はこう考えています」と一歩踏み出すことができる、それもリーダーの力量だと思いますし、それはきっと、リーダーシップをさらに進化させる貴重な経験になるはずです。

迷いは弱さの象徴のように捉えがち(思い込み!)ですが、
それを受け入れ、メンバーとともに歩むリーダーは、多くの人から愛され慕われるのだと
これまで素晴らしいリーダーと出会う中で感じました。

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marco

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