
あなたの周りに、頭の回転が良くて、言語化が上手いリーダーいませんか
「あ、それね、こうすればいいんですよ」 「その問題は、要するにこういうことでしょ?」
会議やミーティングの場で、メンバーが考えている最中に、すかさず的確な答えを出してくるリーダー。皆さんの周りにもいませんか?
私が研修で企業を訪問すると、必ずと言っていいほど出会うのが、この「頭の回転が速く、言語化が上手いリーダー」です。チームが迷っている問題をサッと整理し、明快な言葉で解決策を示してくれる。そんなリーダーがいるチームは、一見すると効率的に見えます。でも、長期的に見ると、思わぬ落とし穴があることに気づかされました。
頭の回転が良くて、言語化が上手いリーダーの特徴

このタイプのリーダーには、いくつかの共通点があるように思います。
まず、物事の本質をつかむのが早いこと。
複雑な状況でも、核心となる要素をすぐに見抜き、「結局、ここが問題なんですよね」と言い当てます。
次に、考えを言葉にする能力が高いこと。
頭の中で整理された思考を、誰にでもわかりやすい言葉で表現できます。
「つまりこういうことです」と言われると、周りも「なるほど!」と納得してしまいます。
さらに、決断力があり、迷いが少ないこと。
様々な選択肢の中から、最適解をサッと選び取る力を持っています。
こうした特徴は、リーダーとして素晴らしい資質です。
しかし、そんな優秀なリーダーの下で働くメンバーには、
意外な弊害が生じていることがありました。
メンバーのデメリットの部分
ある企業の若手社員から聞いた言葉が印象に残っています。
「うちの部長は本当に頭が良くて、いつも先に答えを言われるから、自分で考える機会がなくて…」
確かに、常に「正解」を示してくれるリーダーの下では、メンバーは「考える筋肉」を使う機会が減ってしまいます。その結果、次のような影響が出ていました。
一つ目は、「自分で考える機会」の少なさです。
そうなると、考える力も持て余して使えなくなってしまいます。
筋肉と同じ。使えないと衰えて・・・。
答えを出すまでの過程を経験しないと、思考力は育ちません。
いつも「答え」をもらっているメンバーは、リーダーがいないとどう考えれば良いのか、わからなくなり、その結果、動けなくなることもあります。
二つ目は、「当事者意識」の希薄化です。
自分が苦労して出した答えには愛着が生まれますが、与えられた答えには責任感が伴いにくいものです。「言われたとおりにやったのに上手くいかなかった」という他人事のような感覚が生まれやすくなります。
三つ目は、「多様な視点」の喪失です。一見非効率に見える「もう少し考える時間」があれば、リーダーとは異なる切り口のアイデアが生まれるかもしれません。それが新しい価値につながることもあるのです。
頭の回転が良くて、言語化が上手いリーダーの振る舞い

では、そんなリーダーはどう振る舞えばよいのでしょうか。
「答えではなく、問いを投げかける」
例えば、「こうすればいい」と言う代わりに、「この状況で一番重要なことは何だと思う?」と問いかけてみる。答えを示す代わりに、メンバーが自分で考えるためのヒントを出してみる。
また、「待つ」という行為も大切だと思います。
沈黙の時間は、実は思考の時間。すぐに答えを出さず、少し間を取ることで、メンバーの中に新しい気づきが生まれることがあります。
まだまだ新米ファシリテーターだった頃、「早く正解を言いたい」という衝動と戦うことがよくあります。それをグッと堪えて待つ。今では、「早く正解を言いたい」ことに意味を特別持っていないため、衝動が起こることはありませんが、待っていると、参加者から素晴らしい発見が飛び出すことを幾度も経験しています。
さらに、「私はこう思うけど、みんなはどう思う?」と、自分の意見を「絶対の正解」ではなく「一つの意見」として示すことも大事だと思います。メンバーは「自分の意見も検討しようとしてもらえている」と思えるし、リーダー自身もそう言語化することで意識も持ちやすくなります。
リーダーの真価は、「自分が正解を示すこと」ではなく、「メンバーが自分で正解を見つけられるよう導くこと」にあるのではないでしょうか。
チームの成長は、リーダー一人の優秀さではなく、メンバー全員の思考力と当事者意識から生まれるものだと、これまでの経験から教えてもらいました。
「答えを言わないで、考えさせる」という一見遠回りに見える道が、実は組織の力を最大化する近道なのかもしれませんね。

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