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リモートハラスメント「カメラの向こうに気配りを」

〜誰もが加害者にも被害者にもなりうる、リモート時代の落とし穴〜

オンライン環境でも、関係の質は影響を受けています

「リモートワークは気楽でいいですね」と言われることがあります。
たしかに、通勤がなくなったり、自分のペースで仕事ができたりする点では、働きやすさを感じている方も多いのではないでしょうか。

けれども、こんなふうに感じたこと、
ありませんか?

「今日は何だか、チームの空気が重い気がする」
「この人、最近カメラオフが続いてるけど、大丈夫かな」

画面越しであっても、人は相手の変化を“感じ取る”ものです。
言葉の端々、カメラのON・OFF、レスポンスのスピード・・・
それらすべてが“関係性の温度”に影響しているように思います。

リモートになったからといって、人間関係の影響力が消えたわけではない。むしろ「伝わりにくい分、こじれやすくもなる」ことがあるように、私は感じています。

画面越しの“配慮不足”が、無意識の圧になることも

〜“カメラオン強制”や“即レス圧力”が、チームの温度を下げていく〜

「オンライン会議はカメラオンです」
この一文、何気ないチームルールに見えるかもしれません。
けれども、朝から体調が優れなかったり、
家庭の都合でバタバタしていたりするメンバーにとっては、
「今日は勘弁してほしいな」と思う日もあります。

そこに「〇〇さん、またカメラオフなんですね」と名指しされたら・・・

言った側には悪気はなくても、言われた方には“責められた”ような感覚が残ることがあります。
これが積み重なって「発言しづらくなる」「何となく萎縮する」といった“空気の圧”につながったケースを聞いたこともあります。

また、「即レス」が当たり前の文化も、プレッシャーのひとつになりがちです。
通知が来るたびにソワソワし、「返さないと悪く思われるかも」と手を止めて返事を書く。
そんなことが続くと、心が常に“張りつめた状態”になります。

気づかないうちに、自分も「圧をかけている側」になってしまっている。
リモートでは、こうした“無意識の加害性”が起きやすくなるな、と感じています。

“常時接続”を求められて、子どもに怒鳴ってしまった在宅パパの話

研修時に、ある管理職の方が話してくれた出来事が印象的でした。

その方は、小学生の子どもがいる在宅勤務中の父親です。
日中は業務に集中していたものの、
チームチャットが頻繁に飛び交い、「オンラインなのに反応が遅い」と指摘されることが続いていました。

ある日、子どもが「お腹すいた」と声をかけてきた瞬間、
ちょうどチャットで急ぎの対応を求められ、
思わず子どもに強い口調で怒鳴ってしまったそうです。

「黙ってろって言ってるだろ!」

その後すぐに自己嫌悪に陥り、
「なんで自分は子どもに八つ当たりをしてしまったのか」と悩んだそうです。
本人は真面目に仕事をしていただけ。
けれども、“常時反応できること”を前提としたチームの空気が、
じわじわと負荷をかけていた、というケースでした。

あのとき、誰かがそうした状況に気づき、「お子さんのことも気になるでしょうから、大丈夫ですよ」などと一言あったら。たらればの話ですが、このケースから学べることがあるのは確かです。

加害者にも被害者にもならないために

リモートワークの便利さは、チームに「見えない負担」ももたらします。
それは決して、誰かが悪いという話ではありません。
むしろ、みんなが“良かれと思って”やっている行動のなかに、プレッシャーや誤解が紛れ込んでしまう・・・それが、リモート時代の落とし穴なのだと思います。

だからこそ、管理者やリーダーである私たちは、「伝え方」や「反応の仕方」に少しだけ意識を向けてみるとよいのではないでしょうか。

・「今は反応できないときもありますよね」と一言添える
・「事情があってのカメラオフ。それでもスタンプなどの反応や、ご事情によっては聞いてもらえているということだけでもOKです」と共有する
・「見えない苦労があるかもしれない」という前提で関わる

こうした小さな気配りが、チームに安心を広げていくように思います。

誰もが加害者にも被害者にもなりうる時代だからこそ、
画面の向こうにいる“人の存在”を、そっと思い浮かべてみる。
それが、リモートでも“働きやすさ”をつくっていく第一歩になるのではないかと、
このごろ特にわたしは、そう思うのです。

この記事を書いた人

marco

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