営業時間:平日10:00~17:00

070-5054-3110

休業日:土日祝日 年末年始季節休暇

リモートハラスメント「カメラの向こうに気配りを」

〜誰もが加害者にも被害者にもなりうる、リモート時代の落とし穴〜

オンライン環境でも、関係の質は影響を受けています

「リモートワークは気楽でいいですね」と言われることがあります。
たしかに、通勤がなくなったり、自分のペースで仕事ができたりする点では、働きやすさを感じている方も多いのではないでしょうか。

けれども、こんなふうに感じたこと、
ありませんか?

「今日は何だか、チームの空気が重い気がする」
「この人、最近カメラオフが続いてるけど、大丈夫かな」

画面越しであっても、人は相手の変化を“感じ取る”ものです。
言葉の端々、カメラのON・OFF、レスポンスのスピード・・・
それらすべてが“関係性の温度”に影響しているように思います。

リモートになったからといって、人間関係の影響力が消えたわけではない。むしろ「伝わりにくい分、こじれやすくもなる」ことがあるように、私は感じています。

画面越しの“配慮不足”が、無意識の圧になることも

〜“カメラオン強制”や“即レス圧力”が、チームの温度を下げていく〜

「オンライン会議はカメラオンです」
この一文、何気ないチームルールに見えるかもしれません。
けれども、朝から体調が優れなかったり、
家庭の都合でバタバタしていたりするメンバーにとっては、
「今日は勘弁してほしいな」と思う日もあります。

そこに「〇〇さん、またカメラオフなんですね」と名指しされたら・・・

言った側には悪気はなくても、言われた方には“責められた”ような感覚が残ることがあります。
これが積み重なって「発言しづらくなる」「何となく萎縮する」といった“空気の圧”につながったケースを聞いたこともあります。

また、「即レス」が当たり前の文化も、プレッシャーのひとつになりがちです。
通知が来るたびにソワソワし、「返さないと悪く思われるかも」と手を止めて返事を書く。
そんなことが続くと、心が常に“張りつめた状態”になります。

気づかないうちに、自分も「圧をかけている側」になってしまっている。
リモートでは、こうした“無意識の加害性”が起きやすくなるな、と感じています。

“常時接続”を求められて、子どもに怒鳴ってしまった在宅パパの話

研修時に、ある管理職の方が話してくれた出来事が印象的でした。

その方は、小学生の子どもがいる在宅勤務中の父親です。
日中は業務に集中していたものの、
チームチャットが頻繁に飛び交い、「オンラインなのに反応が遅い」と指摘されることが続いていました。

ある日、子どもが「お腹すいた」と声をかけてきた瞬間、
ちょうどチャットで急ぎの対応を求められ、
思わず子どもに強い口調で怒鳴ってしまったそうです。

「黙ってろって言ってるだろ!」

その後すぐに自己嫌悪に陥り、
「なんで自分は子どもに八つ当たりをしてしまったのか」と悩んだそうです。
本人は真面目に仕事をしていただけ。
けれども、“常時反応できること”を前提としたチームの空気が、
じわじわと負荷をかけていた、というケースでした。

あのとき、誰かがそうした状況に気づき、「お子さんのことも気になるでしょうから、大丈夫ですよ」などと一言あったら。たらればの話ですが、このケースから学べることがあるのは確かです。

加害者にも被害者にもならないために

リモートワークの便利さは、チームに「見えない負担」ももたらします。
それは決して、誰かが悪いという話ではありません。
むしろ、みんなが“良かれと思って”やっている行動のなかに、プレッシャーや誤解が紛れ込んでしまう・・・それが、リモート時代の落とし穴なのだと思います。

だからこそ、管理者やリーダーである私たちは、「伝え方」や「反応の仕方」に少しだけ意識を向けてみるとよいのではないでしょうか。

・「今は反応できないときもありますよね」と一言添える
・「事情があってのカメラオフ。それでもスタンプなどの反応や、ご事情によっては聞いてもらえているということだけでもOKです」と共有する
・「見えない苦労があるかもしれない」という前提で関わる

こうした小さな気配りが、チームに安心を広げていくように思います。

誰もが加害者にも被害者にもなりうる時代だからこそ、
画面の向こうにいる“人の存在”を、そっと思い浮かべてみる。
それが、リモートでも“働きやすさ”をつくっていく第一歩になるのではないかと、
このごろ特にわたしは、そう思うのです。

この記事を書いた人

marco

関連記事

  • ハラスメント
  • リーダーシップ
  • 職場の心理的安全性
リーダーとハラスメント

職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)は、近年ますます重要視されるようになり […]

  • いろいろプロセス
  • 人生:LIFE
  • 仕事のスキル
夢中になること、それは選択と集中の美学

刻々と夢中になる選択 今週、タイトな納期に向けて、まず私がしたことは「選択と集中 […]

  • いろいろプロセス
  • グループプロセス
  • チームワーク
  • リーダーシップ
  • 仕事のスキル
一見地味なルールづくりとその実践

ビジネスリーダーに必要な「ルールを作り、それを守る力」 企業の管理職として、部下 […]

  • コミュニケーション
  • ハラスメント
  • リーダーシップ
ハラスメント相談員養成講座 1日目!

職場でのハラスメント相談員の方のための養成研修をオンラインで実施しています。 1 […]

  • コミュニケーション
  • ハラスメント
  • リスクマネジメント
  • リーダーシップ
「相談がバレた…」ハラスメント相談:失敗と学び

部下からのハラスメント相談は慎重な対応が必要で、適切なサポートが求められます。 […]

  • いろいろプロセス
  • 能力開発
思考のくせ

「えいや! 」 わたし自身がそうだった(今も含めて)から引き寄せてしまうのかもし […]