協力の楽しさを体感する実習
〜“やってみる”ことで見えてくるチームの本音〜
チームワークを学ぶとき、頭で理解しても、実際の場面ではなかなか思うようにいかないものです。
「協力の大切さはわかっているけれど、いざとなると自分の考えを通してしまう」
「人の意見を聞こうと思っても、つい焦ってまとめたくなる」
そんな経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
だからこそ、
チームワークの研修では“実習”が大切だと思います。
実習を通して体験的に学ぶことで、
「チームとは何か」を体感として理解できるようになります。
今回は、その実習がどんな効果をもたらし、なぜチームづくりに役立つのかをお伝えしていきます。
実習が教えてくれる「関係のリアル」
実習では、
短時間で課題を解決したり、
協力して何かをつくり上げたりする活動を行います。
その中で見えてくるのは、「普段の自分の関わり方」です。
たとえば、話し合いの途中で誰かの意見をさえぎってしまったり、
リーダーがすべてを仕切って他の人が受け身になったり。
こうしたやりとりを通して、
自分でも気づかなかったクセが浮かび上がることがあります。
実習は、いわば“人間関係の鏡”のようなものだと思います。
良い悪いではなく、
「自分はどういうふうにチームに関わっているのか」を見つめる時間なのではないでしょうか。
「うまくいかない」経験も大切にする
実習をしていると、思い通りに進まないことがあります。
それは失敗ではなく、むしろ学びの入口だと考えています。
計画を立てても、予想外のことが起こる。
メンバー同士で意見がぶつかる。
そんな時こそ、チームの本当の姿が見えてきます。
研修の場でも、
最初の実習でうまくいかなかったチームが、
ふりかえりを通して次の課題で見違えるほど変化する場面をよく見かけます。
「なぜうまくいかなかったのか」を一緒に考えるプロセスこそ、チームの成長そのものだと思います。
協力することの“心地よさ”を味わう
実習の醍醐味は、やはり「協力できた」と感じる瞬間にあると思います。
最初はバラバラだったメンバーが、互いに声をかけ合い、アイデアをつなぎながらゴールにたどり着く。その達成感は、職場のどんな成功体験にも通じるものがあります。
チームとして力を合わせる体験を通して、
「一緒にやるって気持ちがいいな」と思えること。
それが、次の仕事での関わり方を変えていくのではないでしょうか。
実習の後に大切なのは「ふりかえり」
実習はやりっぱなしでは意味がありません。
「何が起こっていたのか」
「自分はどう関わっていたのか」
これらを言葉にしてふりかえることで、
体験が学びに変わっていきます。
このふり返りの時間を通して、メンバー同士が「自分はこう感じた」「こう考えていた」と話し合うと、互いの理解が深まります。
同じ場にいても、見ていたことや感じたことは意外と違うものです。
その違いを知ることが、信頼を育てる第一歩だと思います。
実習の価値は、「正解を出すこと」ではなく、
「違いを尊重し合う力を育てること」にあると感じています。
実習を通して育つチームの関係力
実習での体験は、
日常の仕事にも生きてきます。
人の意見を最後まで聞けるようになったり、
リーダーが指示を出すより「問いかける」ようになったり。
そうした小さな変化が、チーム全体の雰囲気を変えていくように思います。
チームの関係力とは、
「相手の意図をくみ取る力」や「場の空気を感じ取る力」など、一朝一夕では身につかない力です。けれど、実習を通して繰り返し体験していくことで、確実に鍛えられていくと感じています。
実習を重ねることで、チームの中での自分の役割や関わり方が少しずつ見えてきます。
そしてその気づきが、チームの関係をより良くしていく原動力になるのだと思います。
チームワークは「頭で理解するもの」ではなく、「体で感じるもの」なのかもしれません。
その体験を積み重ねていくことが、
信頼や協力の“実感”を育てていくようにも思います。
次回は、チームを支えるリーダーの関わり方について取り上げます。
どんなリーダーシップがチームワークを生み出すのか、
一緒に考えていきたいと思います。








