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部下との信頼を築くための5つの黄金ルール第2回目

「オープンなコミュニケーション」って何?

「聞いているつもり」の代償これは、わたしが30代後半の頃の話です。

「平澤さん、ちょっと相談があるんですが…」
職場の人が話しかけてきたとき、わたしは書類を見ながら「うんうん、何?」と返事をしていました。彼女は困った様子で「この企画(プロジェクト)の進め方なんですけど…」と話し始めました。
わたしは書類を見ながら「ああ、それね。前にやった方法でいいよ」と答えました。

翌週、そのプロジェクトで問題が発生しました。

彼女が相談に来て「あのとき、実は前回とは違う条件だってお伝えしたんですが…」と言われて、わたしは愕然としました。

「しまった、ちゃんと聞いていなかった」と。
わたしは「聞いているつもり」になっていただけで、
部下の話の本質を全く理解していなかったと思いました。

これは、コミュニケーションの最大の失敗例だと、今でも反省しています。

オープンなコミュニケーションとは?

信頼関係を築くための最初のルールは、
「オープンなコミュニケーション」です。

これは単に「たくさん話す」という意味ではありません。
部下が自由に意見を言える環境を整え、そして上司がきちんと「聴く」こと。

オープンなコミュニケーションがあると、
部下は安心して自分の考えや悩みを話せるようになります。
そして、上司も、部下の本当の気持ちや状況を知ることができる。

研修の現場で、多くの管理職の方々からこんな声を聞きます。

「部下が何を考えているかわからない」

「もっと意見を言ってほしいのに、黙ってしまう」
でも、部下が意見を言わないのは、部下の性格の問題ではなく、
もしかしたら「意見を言える環境」がないからかもしれません。

わたし自身、そのことに気づくまでに、随分と時間がかかりました。
(わたしの場合、研修講師なので、参加してくださった方から、という観点で)

先ほどの失敗事例を経験してから、
わたしはこれからは、必ず手を止めて話を聴く

と決めました。

それ以来、話しかけてきた方がいれば必ず相手の顔を見て話を聞くようにしています。

効果的なフィードバックのコツ

フィードバックは、部下の成長を応援するための大切なツールです。

でも、これが意外と難しい。
わたしもうまくいかなかったケースを多く持っています。

ある日、後輩の企画書を読んで、
わたしは「この方向性、ちょっと違うんじゃない?」と言ってしまいました。

後輩はしょんぼりして「わかりました…」と答えました。
でも後でその企画書を読み込んでわかりました。

わたしは企画書の冒頭部分だけ読んで判断していて、
実は後半に素晴らしい提案が書かれていたことに。

わたしは最後まで読まずに、
サッと目を通しただけで「否定」的な返をしてしまっていました。

効果的なフィードバックのポイントは、
「しっかり理解する」

その上で、
「具体声を持って、伝える」

必要であれば根拠も示す。

そして、最後に相手に、「わたしのフィードバックについてどう思うか」と尋ねてみる。

「ここの部分は本当によく考えられているね。気になったのは、この部分。ここは具体的なデータを入れて説明すると、聞き手は納得感を得られると思います。すると全体的にもさらに良い企画書になると思います。あなたは、データを入れることについてどう思いますか?」というように。

批判ではなく、成長のためのヒント。

なんといってもフィードバックの目的は「相手の行動変容」「相手の成長」です。
こちらの知識や分析をひけらかす場ではないのですから。

(これについては、わたしは、いまもって度々自分を戒めています。もちろん、前向きに!)・・・前向きな戒めって・・・^_^;

フィードバックは、目的を押さえて的確に伝えると、
周囲も受け止めやすくなります。

これは、研修で何百人もの管理職の方々と一緒に学んできた中で、
わたし自身も少しずつ身につけてきている感じです。

(今でも失敗することはありますが😅)

1to1ミーティングの活用法

1to1ミーティング、最近よく耳にする言葉ですね。
※「1on1」についての私見:上下関係があれば使える用語だろうとは思いますが、1to1の方が表現としてはおすすめです)

これは部下と定期的に一対一で話す時間を作ることです。

ただ、実際は「何をどんなふうに話せばいいのか」よくわからない、という相談をいただきます。

業務の進捗確認だけで終わってしまって、
「これって意味あるのかな?」と思った、というコメントを聞いたことがありますし、
「報告だけなら、定例MTGで十分だと思う」というコメントも耳にしたことがあります。

確かに!(わたしも、同じ意見でした)

1to1の良いところは、
部下(相手)が本音を話してくれることだと思います。

大勢の中では言えない(というか、言わない)ことも

1to1では話してくれることも多い。

もちろん、そのために、日頃から話してもらえる関係が築かれているという前提がありますが。

「実はこの仕事、どうアプローチしたらいいか迷っていて…」

「チームの○○さんとのコミュニケーションで、ちょっと気になることがあって…」

そんな、相談と言える類の「普段は言えないこと」を打ち明けてくれる場でもあります。

1to1のポイントは、「評価の場」ではなく「応援の場」にすること。

部下(相手)の悩みや意見をじっくり聞いて、
一緒に解決策を考える時間として活用します。

週に一度、15分でも30分でもいい。

この時間が、信頼関係を深める大きな一歩になります。
研修で、ある管理職の方がこう話してくださいました。

「1to1を始めてから、部下が自分から相談に来てくれるようになりました」
この言葉を聞いたとき、わたしは「ああ、やっぱり継続することが大事なんだな」ということも実感しました。

完璧じゃなくていい

コミュニケーションに「完璧」は非現実的です。
そもそもミス(エラー」が起こるのが、抽象的なやりとりであるコミュニケーションですから。

例えば(あまり良い例とは言えないが)
わたしのようにおっちょこちょいな人間でも、
「ごめん、さっきちゃんと聞けてなかった。もう一度聞かせて?」
と素直に言えば、相手は面倒がったとしても、話してくれるでしょう。

これも、何度も失敗して学んだことです。
大切なのは、相手の話を真剣に聞こうとする姿勢です。

その気持ちがあれば、たとえ失敗しても、信頼関係は少しずつ育っていきます。

みんな、失敗しながら学んでいるということを、
最近特に実感します。

失敗はわたしだけの特別な経験ではない。
日常的なこと。

(失敗っていうよりも「うまくいかないこと」「思った通りにならないこと」という意味の方がより具体的な表現だと思います)

わたし、今でもよく失敗します

失敗したときに「ごめんなさい」と素直に言えるようになったことが、わたしの成長だと思っています。

しかし最近、「謝らなくて良い」、と 受け入れてくれないことも増えてきました。
「すみません」はいらない。誰でも経験することだから。そういう価値観をお持ちの方たちのようです。わたしとは、ある一部において違う価値観ですが、そういう価値観を持った人もいることを認識しながら、今日もわたしらしく生きていこうと思います。

と・・・・着地点が変なところに行きましたが、

気を取り直して!

次回は、部下の成長を支援する方法と、信頼を育む環境づくりについてお話しします。

お楽しみに!

この記事を書いた人

marco

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