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管理しなくてよい管理とは何か 2つの観点から
▶︎管理しなくてよい管理
ひとつ前のコラムで管理しなくてよい管理をご紹介しました。
「管理をしなくてよい管理」は
充実太郎さんのような会社が実践しているマネジメントのことです。
▶︎充実太郎さんの会社ってどんな会社?
充実太郎さんの会社のことを
コラムではどのように紹介したかというと・・・・
お互いに意見を言えたり、
相手の話をよく聞いたり、
わからないことも率直に質問できたりするなど
振る舞いに関する抑圧がないため、パフォーマンスが高い。
社員同士で話し合うこともできるし
決断をすることに対して
勇気を出せる。
このような職場を心理的安全性が高い職場と表現します。
そして心理的安全性が高い職場である企業の社長の充実太郎さんは、
社内のことは社内の責任者に任せて、
自分は経営者としての仕事に専念できるのです、と
書きました。
心理的安全性の概念を最初に発表したのは、
ハーバード大学のエイミー・C・エドモンドソン教授です。
エイミー・C・エドモンドソン教授は「チーミング」という概念を研究し続け、
チーミングの形成には心理的安全性が必要だといっています。
いずれエイミー・C・エドモンドソン教授の主張にも触れることにします。
さて、
わたしたちは、
これからさらに具体的に、
管理しなくてよい管理を実現している充実太郎さんの心理的安全性が高い職場
について、理解を深めて行きますね。
最初に、ここからを読むポイントをご紹介します。
以下の2つの点を意識しながら、
読み進めてみてください。
「管理しなくてよい管理」とは、
1、何を管理しなくてよい、と言っているのか
2、何を管理する、と言っているのか
では、早速
混乱一郎さんと一緒に、
充実太郎さんの会社にお邪魔してみることにしましょう。
▶︎混乱一郎さんの夜の時間と充実太郎さんの夜の時間
混乱一郎さんは、充実太郎さんの会社に行くことにしました。
昨夜も遅くまで残務をしていて、ふと思ったのです。
↓ 昨晩も遅くまで残務処理をしていた「社長」の混乱一郎さん。
「そういえば、
なぜ充実さんは
あんなに楽しそうに
仕事をしているのだろう」
「同じ経営者なのに、この違いは何だろう?」
そういえば、充実さんの会社は業績も伸びていると聞いています。
混乱さんは、疲れ果ててましたので、
その謎を解明しようと充実さんに電話をしてみました。
「まだこのくらいの時間だったら
電話をしても大丈夫だろう」
ポルルルルル ポルルルルル・・・・
混乱さん:あ。充実さん?こんばんは。いつもお世話になっっています。
遅い時間にごめんなさい。
ちょっと仕事のことで聞きたいことがあるんだけどいいかなぁ?
充実さん:あぁ、いいよ。仕事のことだって? だったら、明日うちに会社に来ないか?
実は今、ジムでひと汗かいてるんだ。
混乱さん:そうか。もう、仕事から上がってるんだね。じゃあ、明日充実さんの会社に行ってもいいかい?
充実さん:待ってるよ。14時に。
混乱さん:わかった。14時だね。
電話を切った後、
混乱さんは「明日になればその謎も解けるさ」と呟くと、
再びパソコンに向かい、残務と格闘を始めました。
その日は、日が変わってから仕事を終えました。
(笑)ビジネス小説のようになってしまいましたが💦
このような流れで、
混乱さんは充実さんの会社に訪問することになりました。
そんなわけで、ここから先は
充実さんの話と
それを聞いて混乱さんが思ったこと
を元にして、
「管理しなくてよい管理」と「心理的安全性」
をまとめていきます。
「心理的安全の要素」も見えてきますよ。
▶︎管理をしなくてよい管理
充実さんの会社の社員の方々がしていたことは、
すでに書いてある通り、
わからないことは質問したり、
不安に思えば相談したり、
助けが必要であれば助けを求めたり、
突拍子もないと思われるようなアイディアでも言ってみたり、
などです。
つい先日もこんなことがあったそうです。
▶︎些細なミスからの大きな損失
もう20年近いキャリアの企画部の部長は、
クライアント企業のWEB制作の企画を部下に任せています。
部下も10年近いキャリアを持っていて、
一つの企画を完遂するだけの力を持っているのだとか。
いつも、進捗報告を受ける程度で、
部下の仕事に口出しすることはないと言います。
ある時、
新人でもしないような凡ミスを、
優秀な部下である主任がしてしまいました。
その凡ミスは、ほぼ完成していた企画を
最初からやり直さなければならない程度の影響があり、
数百万単位の損害になる可能性がありました。
クライアントにも迷惑をかけ、
取引が中止になる可能性もあったそうです。
大変なミスをしてしまいました・・・・
ところが、
この件は、
極めて早い段階で部内で事態を共有することとなり、
素早く対処。
そのおかげで
企画は一からやり直しになったものの、
クライアントと話し合い、代替案を採用してもらうことができ、
取引も引き続きできることになったそうです。
後で、ミスをした主任はこう言ったそうです。
恥ずかしながら、凡ミスから大きな損害を出してしまいましたが・・・
ミスを最初に気づいたのは自分だった。
わたしは、このミスをすぐに部長に報告をした。
部長は、決して私を叱ったり、
私一人に責任を押し付けないことを分かっていたから、
すぐに報告できた。
部長にミスしたことを話し、
謝り、
助けてほしいと願い出た。
部長はわたしの話をしっかりと聞いてくれた。
そして、みんなでこの状況に対応しようじゃないかと提案してくれた。
この後の部長の行動は早かった。
すぐに部内の人間を集めて
どうすればよいか、最善策をみんなで話し合った。
メンバーには、
イラストの専門家
デザインの専門家、
エンジニアなど
忙しいものばかりがいたが、
メンバーも、誰一人文句を言う者はいなかった。
それぞれが職業的な文化衝突を恐れることなく
意見を出し合い、積極的に考えた。
みんな「正解を探し出そう」としてくれた。
早めにクライアントに報告と謝罪をし、
みんなで作った代替案を提出した。
その代替案をクライアント企業が気に入ってくれ、
採用になった。
わたしたちはチームとして
また一段階成長できたと思う。
ミスは二度と起こさないよう改善しているが、
このことを通して、
わたしたちは、よい結果を出したし、
それ以降より良い結果を出せていると思う。
あの時。
わたしは、チームに対して
抑制されたものがなかったことが
正直にミスを報告できたことに繋がった。
メンバーが互いに意見を言い合い、検討できたのも
心理的な抑制や躊躇がなかったからだと思います。
▶︎混乱さんは思い出した・・・
それを聞いた混乱さんは
自社のある一件を思い出したと言います。
20年間営業畑だった人を、
人事部長に着任させた。
彼は人事業務のことはよくわかっていなかった。
しかし、部長なりに外部の研修に行ったり
本を読むなどして猛勉強したようだ。
彼は入社した時から、勉強家だし頑張り屋だ。
人事の常識に囚われない営業出身の人事部長のアイディアは
中々にして斬新・・・
と言いたいところだが、
実際は、評価の計算の出し方が間違えていたり、
人事戦略もなく自分の考えだけで配置を実施するなど
1年が過ぎた頃には社内が混乱を始めていた。
人事部内も、
脈略のない人事企画案に振り回され、疲弊していた。
混乱さんは、そのことを注意したが、
20年も営業のトップを走ってきたキャリアを持つ人事部長は
話を聞き入れない。
ある日、たまりかねた部員が
「部長、この部分、もう一度検討し直してもらえませんか」
と進言すると、
真っ赤な顔をして怒ったそうだ。
それ以来、
その部長のやることに、
誰も意見をする者はいない。
社長の混乱さんの意見も聞かない。
人事部長は自分が思うように
社内人事を行なっている。
混乱さんは考えた。
「そういえば、このような社内のいざこざは絶えず起こっていて、わたしはいつもその事後処理に当たっている・・・」
うちの会社は
一人一人は能力があるんだろうに、
うまく歯車が回っていないな。
意見もあるんだろうに、話し合いさえ行われない。
問題を問題だと認識できない社員もいるしな・・・。
この前なんて・・・
夜遅くまで新人が悩んでいたようだったけど、
大丈夫かなぁ・・・
ちゃんと解決できたんだろうか。
あまり、干渉しすぎるのも
嫌がられるかもしれないし、
まぁ、揉め事になっていないから
もう少し様子を見るか・・・
さてみなさん。
この2つの会社の様子から。
「管理しなくてよい管理」を実現させる「心理的安全性」について
考えてみてください。
特に以下の2つの観点から、
「管理しなくてよい管理」と言うのは、
1、何を管理しなくてよい、と言っているのか
2、何を管理する、と言っているのか
を考えてみると
ひらめきがあると思います(^ ^)
そうそう。余談ですが、、、
混乱さんが、
充実さんにお礼を言って会社を出る時、
社員さん達をみて・・・
「なんてマブしいんだ✨」と思ったそうですよ・・・
✨キラキラ✨ゴールデン社員さん達✨
金色社員さんたち
次のコラムでは、
いよいよ
「管理をしなくてよい管理」を実現させる「心理的安全性」について、
ハーバードビジネススクールのエイミー・C・エドモンドソン教授の研究を引用しながら、
お話ししますね。
「心理的安全の要素」のお話も登場します。